2018 Fiscal Year Research-status Report
Dynamic mass measurement of micro sample under environmental vibration
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18K04180
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
山崎 敬則 東京電機大学, 理工学部, 准教授 (80342476)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山川 雄司 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 講師 (90624940)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 微小質量 / 動的測定 / 環境振動 |
Outline of Annual Research Achievements |
微小試料の質量を手早くかつ精度よく測定することは,ますます重要な課題となっている.代表的な例として創薬が挙げられる.薬剤には微量でも効果が大きく異なるものがあり,調剤の現場では,個人の反応に応じた投薬が行われ始めている.微小質量測定の最大の敵は床振動などの環境振動である.高周波成分は測定時間が短くともフィルタなどで除去できるが,低周波成分は測定値へ重畳されてしまう.そこで本研究では,電磁力を用いた電子天秤に,環境振動を抑制ないしは相殺するアルゴリズムを適用し,1g以下の質量を0.5%の精度で短時間かつ連続的に測定するシステムの開発を目指す. これまでにも動的質量測定に関する研究は行われてきたが,微小質量の動的測定技術については,特に環境振動が測定値に与える影響が問題となって確立していないのが現状である.本研究では,環境振動下でも実需の要求に応えられる速度および精度での動的測定を目的とし,本年度は環境振動の検出に焦点を当てて研究を進めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度(平成30年度)は,環境振動を測定する手法について主として研究を進めている.環境振動は数Hz程度と低周波であることが多く,一般に用いられる圧電式やひずみゲージ式の加速度センサでは検出が難しいことが問題となっている.そこで本研究では,環境振動を測定する方法として,1)ダミーセルを用いる方法,2)MEMS型加速度センサを用いる方法,の2つで検討を行った.後者は近年,小型化が進み,SN比が目覚ましく向上しているが,研究室ではさらなるノイズ低減を目的として基板に改良を加えている. これら2つの方法による振動測定について,従来から低周波の測定に実績のあるサーボ型加速度センサを用いて比較したところ,いずれも0.01m/s2程度の加速度は検出できることが分かった.さらに環境振動の低減を目的とし,簡易的かつオフラインではあるが補償を施した実験の結果,10Hz程度までの定常振動については,いずれの方式でも50%程度の低減効果が得られている.
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Strategy for Future Research Activity |
環境振動を測定する手法については目処が立ってきたものの,計量コンベア本体(電磁力平衡式はかり)の出力(初期信号は変位)と振動検出器(ダミーセルおよびMEMS型加速度センサ)の出力とは物理量が異なるため位相差が生じてしまう.そこで,当初の計画にあるように,電磁力平衡式はかりのモデル化,さらに測定システム全体のモデルを構築し,この関係性を把握することが先決である.さらに本体と振動検出器の設置位置によって生じる位相差についても検討を進める必要がある. また,ひとまず同一場内にある各種機械の運転によって生じる定常的な環境振動を想定した補償を進めるが,最終的には,微量の搬送物が計量コンベアに乗り込む際の衝撃によって励起される振動についても考慮しなければならない.この衝撃は,研究室製の電動シリンダを用いた加振機をステップ状に運動させることで再現できるが,衝撃に対する振動を抑制するには,測定システム全体の過渡現象を含めた挙動解析が必要である.
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Causes of Carryover |
振動検出器を自作したため使用額が抑えられた. 次年度は,振動検出器の改良型を製作予定である.
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