2018 Fiscal Year Research-status Report
セミアクティブ音響ダイオードによる電力フィードバック進行波型熱音響発電機の開発
Project/Area Number |
18K04193
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
小林 泰秀 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (50272860)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 環送電力の逆流防止 / 電力フィードバック回路のスイッチング / 定常発振制御 / 極値探索制御 / 負荷のフィードバック制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 発振余裕を最大化する電力フィードバック回路の調整手法の開発 本発電機に二つ存在する発振モードの決定要因が未解明のため先に電力フィードバック部の調整を実験的に検討した。1-1. 温度変動に対して発電電力を最大化する負荷のフィードバック制御手法の開発:廃熱源の温度変動に対して(i)定常発振制御及び(ii)極値探索制御に基づいて発電機の負荷を動的に調整する制御系を構成し、(i)熱源の温度が一定,さらに熱源の温度が変化した場合に、圧力振幅を与えられた目標値一定となるように負荷抵抗が自動調整されること、(ii)制御系のパラメータ(フィルタ係数,摂動の振幅と周波数)の調整法を示し、熱源の温度が一定の場合,負荷を動的に変化させることで発電電力を最大化できることを実験的に示した.1-2. 定常発振制御系の安定性解析及び臨界温度比推定への応用:上記の負荷のフィードバック制御系に対して安定性の理論的保証を与えるため、二次振動系モデルに基づき安定性解析を行った結果、制御系の比例・積分ゲインに関する安定領域が実験と理論で定性的に一致する結果を得た。熱音響コアの振幅依存性を考慮した周波数応答計測及び、ループ管熱音響システムの臨界温度比推定に応用できることを実験的に示した。 2. セミアクティブ音響ダイオードの開発 2-1. 電力フィードバック回路のスイッチングによる電力逆流防止効果の実験的検討:回路の端子電圧が位相差を持つ時、コアが音響パワーを増幅する方向と逆方向に電力が流れる瞬間が存在することを示した。端子電圧に同期してフォトスイッチをオン/オフすることで、電力の逆流を防止する効果を実験的に調べた。スイッチング無しの場合に定在波型モードで発振する、負荷抵抗値が比較的大きい場合、スイッチングを行うと、進行波型モードの自励発振周波数が励起されることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1.導波管の管壁における散逸を低減させるため、従来システムの塩ビ管をステンレス管に置き換えた結果、同程度の熱入力に対するシステムの発振強度が向上した。しかし、その結果、リニアモータのストロークの制限が相対的に厳しくなり、熱入力を大きく取ることが困難となった。 2.本発電機には熱音響コアの両側に音響パワーが放射される定在波型の発振モードと、熱音響コアが低温側から高温側に音響パワーを増幅する進行波型の発振モードが存在し、負荷抵抗値の大小で両者が切り替わるが、この現象の理論的な説明ができていない。 3.現在入手が可能なフォトスイッチには、発電機の自励発振の周期に比べてターンオン時間が無視できず、電力逆流の現象が生じている周期のみスイッチをオフすることが難しい。
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Strategy for Future Research Activity |
1の問題に対して、リニアモータのボイスコイル部をボイスコイルアクチュエータに置き換え、リニアモータのストロークを拡大する。 2の問題に対して、閉ループ系を熱音響コア部とそれ以外の管路部に分割すると、負荷抵抗値による変化は管路部の動特性にのみ現れ、コア部には影響を与えない。そこで、負荷抵抗値が管路部の動特性に与える効果、特にナイキストの安定性解析において負荷抵抗値により定在波型と進行波型の軌跡が入れ替わる理由を検討する。 3の問題に対して、フォトスイッチを二つ組み合わせて使用することで、見掛けのターンオン時間を短縮する手法を検討し、電力逆流防止の効果向上を試みる。
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