2019 Fiscal Year Research-status Report
セミアクティブ音響ダイオードによる電力フィードバック進行波型熱音響発電機の開発
Project/Area Number |
18K04193
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
小林 泰秀 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (50272860)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 定在波型発振周波数の決定要因 / 定常発振制御系の熱音響振動計測への応用 / フォトスイッチの並列接続 / 電力フィードバック部の非対称化の効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.発振余裕を最大化する電力フィードバック回路の調整手法の開発に関して 1-1.安定性解析ツールの妥当性検証:電力フィードバック回路の負荷抵抗をこれまでの直列から並列接続に変更した場合について、安定性解析を実施した結果、抵抗値が大きくなると定在波型から進行波型の発振モードに移行する、実験に定性的に一致する結果を得た。このことから解析ツールの妥当性を確認した。1-2.定在波型発振モードの決定要因:リニアモータ端面を閉端に置き換えた際の発振周波数を解析した結果、置き換え前(約38Hz)とほぼ同一(約39Hz)となった。よって両端閉端の単純なモデルによる周波数約28Hzより高い要因として、コア部の音速が仮定値346m/sより大きいことが考えられる。1-3.定常発振制御系の臨界温度比推定及び大振幅加振下の周波数応答計測への応用:測定管路長の共振を利用することにより小型の加振器で大振幅加振を行い振幅依存性が取得できること、開ループ系のゲインに代えて位相を調整することでも定常発振制御ができること、閉ループ系を不安定化させることで正弦波の参照信号を用いずに管路長に応じて発振周波数を自動決定し大振幅下で周波数応答計測が行えること等を示した。 2.セミアクティブ音響ダイオードの開発に関して 2-1.電力フィードバック部の非対称化による遮断時間が環送電力に与える効果:スイッチングの遮断時間がフォトスイッチのターンオン時間5msより短縮できない問題を、フォトスイッチを二つ並列接続することで解決した。遮断時間が環送電力に与える効果を検討した結果、瞬時電力の逆流に遮断時間を合わせると環送電力が最も大きくなることを実験的に示した。2-2. 非対称化が発振余裕に与える効果:非対称化によりうなりが生じる負荷抵抗値の範囲が広がる実験結果を得た。このことから、非対称化により発振余裕が拡大することを実験的に示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験の再現性が低く長期間の網羅的な実験データ取得に基づいて定量的に評価を行うことが困難である。 (i)高温側・低温側熱交換器の温度指令(TC、TH)が一定でも圧力振幅と発振周波数が変動する:自励発振時の圧力変動の要因を検討した結果、圧力変動に同期して発振周波数も変動していること、圧力を目標値一定とする定常発振制御時においては、可変ゲインの変動となって現れることがわかった。この問題の要因として、TH、TCの指令値が一定でも、スタック端面の実際の温度が変動している可能性が考えられる。 (ii)実験装置組み換え時の位置決めによる実験結果の変動:実験装置の保安上、二つのリニアモータは実験開始時に位置決めを行う必要があるが、水平に支持されたボイスコイル部が自重でたわむため、永久磁石との相対的な位置決めの再現性が低い。
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Strategy for Future Research Activity |
(i)について、これまでのように長時間取得した時間応答における平均的な温度比や圧力振幅を用いるのではなく、高温側及び低温側熱交換器の温度TH、TCを同時計測することで比較的短時間の時間応答から温度比を算出するか、または温度TH、TCが変動しないよう、ヒーター及びチラーの性能改善(on/offの二値制御ではなく、無段階の電圧制御など)の実施を検討する。 (ii)について、リニアモータのボイスコイルを垂直方向に振動するように変更し、エルボを介して熱音響コア・管路と接続する。
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Causes of Carryover |
本実験を遂行する上で進行波型及び定在波型発振モードの挙動を定量的かつ詳細に検討するために、実験の再現性を改善し長期間に渡って実験データを蓄積することが重要であり、そのため「現在までの進捗状況」及び「今後の研究の推進方策」に記載した通り、対策を講じる必要があると判断した。(ii)のエルボを介してボイスコイルを鉛直向きとする対策は現在実施中であるが、(i)の熱交換器に関する対策には時間とコストを要するため、次年度に実施することとした。
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Research Products
(6 results)