2019 Fiscal Year Research-status Report
データ駆動型制御器設計法によるゲインスケジューリング力制御器の設計法の提案
Project/Area Number |
18K04197
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
弓場井 一裕 三重大学, 工学研究科, 准教授 (10324542)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 力制御 / データ駆動型制御器設計法 / ゲインスケジューリング / クラスタリング / サポートベクターマシン |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は,作成した実験装置を用いて,実際に力制御システムより得られた入出力データを用いてゲインスケジューリング制御器の設計を行った。設計を行うにあたり,力制御系において,非線形な位置依存の摩擦力が大きく,設計結果に大きな影響を与えることからまず摩擦モデルを作成し,フィードフォワード的に補償を行った。摩擦の補償を行った後,改めて制御対象の入出力データを取得し,ゲインスケジューリング制御器の設計を行った。2つのリニアスライダを,一方は力制御を行うロボット,他方はインピーダンス制御を施した可変の環境とみなした。インピーダンス制御を施した環境を模擬したロボットのインピーダンスを可変にしてデータを取得し,それを2つのモードとして回帰ベクトル空間でクラスタリングを行った。2つのクラスタを区別するためのサポートベクターマシンを用いて識別関数を求めた。サポートベクターマシンはそれぞれのクラスタからの距離が最小になるように設計されるため,現在得られているデータがそのマージン以内に入っていれば,現在のモードは2つのクラスタの中間的なモードとみなすことができ,ゲインスケジューリングを行うべき領域にいると判別する。現在得られているデータが識別関数のマージンを超えていれば2つのモードのどちらかに近い状態と判断し,ゲインスケジューリングをしなくても良いと判定する。ゲインスケジューリングを行う場合,2つの制御器の線形和としてゲインスケジューリング制御器を導出するが,その重みは識別関数からの距離に応じて決定した。数値シミュレーションでは上記の設計により,固定の制御器や,単純なスイッチング制御器よりも良好な性能が得られたが,実験データを用いた場合,スイッチング制御器を用いた場合と比べ,それほど性能の改善は見られなかった。その理由は実験結果ではクラスタリングがうまく行われていない点にあると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は力制御の実験装置は完成し,実験を行う環境は整った。データを取得する際に,非線形な摩擦・外乱トルクの影響が大きく,その影響を抑えるべく,非線形摩擦の同定とそのフィードフォワード保証を行った。ゲインスケジューリング則の構築を行い,実際に得られた入出力データからゲインスケジューリング制御器を設計したところ,数値シミュレーションでは想定した良好な性能が得られたものの,実際の実験データを用いて設計した場合,良好な性能とは言えなかった。問題点はクラスタリングの結果に大きく依存していることが考えられ,今後は実験データを用いた際に,よりロバストなクラスタリングを行う必要があると考えている。以上のように,問題点は見つかったものの,数値例においては良好な結果が得られており,おおむね順調に進展していると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況で述べたように,本研究における問題点は現在,実験データをクラスタリングする手法についての見直し・検討が必要であると考えている。研究開始時において,クラスタリング手法としては,k-means法を用いていたが,現在,データを分類する手法は様々なものが提案されている。設計の目的に適した分類法の選出を改めて行い,数値シミュレーション・実験を行っていく予定である。
|
Causes of Carryover |
年度末に参加を予定していた国際会議が COVID-19 の影響により開催中止となり,旅費・宿泊費の支出が急遽不要となり,その分を次年度に繰り越すこととなった。2020年度は主に成果をまとめ,発表するために使用する予定である。具体的には,国内外での学会発表と論文投稿に使用する予定である。
|