2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K04200
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
蛯原 義雄 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (80346080)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 錐計画 / 非負システム / 制御系の解析と設計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,錐計画に基づいた線形非負システムの解析・設計理論の先鋭化を目的としている.一般の(非負とは限らない)線形システムの解析を行う上では,半正定値行列で構成される錐上の最適化問題である半正定値計画が有効であることがよく知られている.しかしながら,非負システムの解析を行う上では,その非負性から,共正値行列で構成される錐上の最適化問題である共正値計画を採用するほうが自然であると考えられる.一方,非負システムの性能を解析する問題を扱う上では,非負性を上手く活用することで一般の線形システムに対しては取り扱いが困難な性能解析問題の求解が可能になると考えられる.今年度は,前者の共正値計画に基づく非負システムの性能解析に関して,非負システムの安定性やH2性能,H∞性能を解析する問題を共正値計画問題に帰着できることを示し,これらの研究成果を学術論文として発表した.一方,後者の非負システムの解析に関して,一般のシステムでは取り扱いが困難な Lq/Lp ハンケルノルムの計算が非負システムに対しては可能であることをあきらかにし,さらに線形計画法や半正定値計画法を用いた Lq/Lp ハンケルノルムの解析手法も合わせて構築した.これらの研究成果を学術論文として発表するとともに,より発展的な問題である切り替えが絡む非負システムのLq/Lp ハンケルノルムの計算に関する研究も進め,得られた研究成果を国際会議論文として投稿し発表を受理された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では半正定値計画と共正値計画に基づく非負システムの解析理論の構築を主たる目的として研究を進めているが,学術論文の執筆や国際会議論文の発表にいたる一定の研究成果が得られている.
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Strategy for Future Research Activity |
非負システムの性能解析に関する本年度の大きな研究成果として,切り替えを有する非負システムの Lq/Lp ハンケルノルムを解析する問題を線形計画問題に帰着できたことが挙げられる.この研究成果をもとに,今後は Lq/Lp ハンケルノルムを低減するような制御装置を設計する問題に取り組みたい.現時点でこの問題を幾何最適化問題と呼ばれる凸最適化問題に帰着できるという見通しが得られており,今後は理論の整備と数値計算による設計手法の有効性の検証などに早急に取り組みたい.一方,入力を非負値に限定した線形システムのL2誘導ノルムの計算に関して,共正値計画を応用することでその上界値と下界値を計算できるという見通しも得られている.このような入力を非負値に限定した線形システムのL2誘導ノルムの計算手法を開発することで,出力値が非負値に限定されるような非線形要素を有するフィードバックシステムの安定性解析に対して画期的な解析手法を構築できる可能性がある.今後は数理計画分野で共正値計画に携わる研究者とも連携を取りながら上記のL2誘導ノルムの計算手法の開発を推進する.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主たる理由は,異動やCOVID-19の影響で予定していた国際会議・国内会議の参加を取りやめたからである.次年度の研究活動にCOVID-19が与える影響も不確定であるが,次年度使用額に関しては研究環境整備のために有効に利用する.
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