2019 Fiscal Year Research-status Report
酸化物半導体トンネル接合電極導入によるAlGaN系UVC-LED高効率化の研究
Project/Area Number |
18K04226
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
内田 和男 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (80293116)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | UV LED / トンネル接合 / 酸化物半導体 / MOVPE / RFスパッタリング / AlGaN / ZnO |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はn型ZnOトンネル層を組み込んだAlGaN系pnダイオードの作成を目的として、有機金属気相成長法(MOVPE)によるサファイア基板上へのMgをドープしたp-GaNの成長と、その基板上にRFスパッタリング法を用いてn-ZnOを成膜する実験から始まり、これらZnOには窒素雰囲気におけるアニール実験を経て、pおよびn電極を付加したpnダイオードを作成し、これらダイオードの電流電圧特性評価(I-V特性)を行い、接触抵抗が最も低くなるアニール温度の最適条件が解り、またZnOが完全空乏される140nm以下の膜厚で、トンネル効果を生じていることがFowler-Nodheim(FN)プロットを確認することで明らかになった。次にこのp-GaN/n-ZnOトンネン接合条件を用いて、n型ZnOトンネル層を組み込んだAlGaN pnダイオードを作製し、評価を行った。このダイオードは始めにMOVPEによりサファイア基板上にAlNをバッファー層、バリア層にn-Al0.3Ga0.7N、活性層にi-Al0.5Ga0.5N, クラッド層にp-Al0.3Ga0.7Nそしてコンタクト層にp-GaNを成膜し、その後p-GaN上 にRFスパッタリング法によりn-ZnOを成膜した。そしてスピンオングラスをマスクに用いて、ドライエッチングによりn-AlGaN 層を露出させ、電子ビーム蒸着で、n-AlGaNの上にTi/Al/Ti/Au電極を形成し、最後にn-ZnO上にTi/Au電極を形成し、デバイスを完成させた。また比較のためにトンネル層なしのダイオードも作成した。結果として、トンネル層なしのダイオードと比べてI-V特性において、トンネル効果と考えられる高電界領域における優れた電流注入特性が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の未完部分であったトンネル層に用いるAlドープZnOターゲットを用いたRFスパッタリングによるn-ZnOの成膜条件と特性評価、そしてMOVPE法によるAlGaN pnダイオード構造の成長とAlGaN用ドライエッチング、電極形成等のデバイスプロセスの確立が今年度完了し、 p-AlGaN, p-GaNとZnOの電気特性測定実験とトンネル接合の評価に至り、トンネル接合型pコンタクト層を有する横型構造UVC-LEDの研究に発展した。但し、UV領域を測光可能にするエレクトロルミネッセンス装置の準備遅延により、作成したUV-LED構造デバイスの発光特性の評価には至っていない。 またレーザーリフトオフ実験には至らなかったために当初より予定の縦型構造UVC-LEDの研究には至っていない。また外部発表の準備を行なっている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年である令和2年度は、主に昨年度で作成したトンネル接合型pコンタクト層を有する横型構造UVC-LEDの発光特性はUV領域エレクトロルミネッセンス装置を用いて評価し、ZnOトンネル接合のAlGaNデバイスへの有効性の確認を行い、発表が出来なかった昨年度の結果と合わせて、外部発表、論文報告に注力する。またレーザーリフトオフ実験に関しては、外部委託先を探索して実験、もしくは今後の課題とする。
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