2019 Fiscal Year Research-status Report
酸化ガリウムのトレンチ形状作製のための新製造プロセスの確立
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18K04239
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
新海 聡子 九州工業大学, マイクロ化総合技術センター, 准教授 (90374785)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 聡 九州工業大学, 大学院工学研究院, 教授 (10577282)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 酸化ガリウム / 塩素 / 三塩化ホウ素 / ドライエッチング / バイアス電力 / プロセス圧力 / ICP電力 / 表面粗さ |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は多結晶β-Ga2O3基板を用いて検討を行ったのに対し,2019年度は単結晶β-Ga2O3基板を用いて,Cl2とBCl3ガスによるドライエッチングを行い,β-Ga2O3の表面形態に及ぼすプラズマダメージの影響を明らかにした.単結晶基板は,UIDとSnドープの2種類を用いたが,GaNでは顕著に確認されていた不純物量の差が,β-Ga2O3のドライエッチングにおいては不純物の有無に結果は左右されないことがわかった.また,これまで検討を行ってきたGaNとは異なり,低バイアス電力でエッチングを行っても,ラジカルによるエッチングが主となる領域と,イオンによるエッチングが主となる領域の境目は確認されなかった.これは,ラジカルとイオンの双方がエッチングに関与していると思われるバイアス電力の値の範囲が狭く,β-Ga2O3においては今回設定した1W刻みの電力値にはその境目がはいらなかったものと思われる.また,バイアス電力の変化においては,Cl2ガスとBCl3ガスの大きな差は見られなかった. 一方,バイアス電力だけでなく,プロセス圧力とICP電力がβ-Ga2O3の表面形態に及ぼすドライエッチングの影響も調べた.その結果,プロセス圧力を変化させても表面形態に変化は無かったが,ICP電力を変化させるとBCl3ガスでは変化は見られなかったが,Cl2ガスを用いるとICP電力の上昇に伴い,表面粗さが増すことがわかった.なぜ,Cl2ガスを用いた場合のみ,ICP電力を増加させると表面粗さが変化したのかという理由は明らかになっていない.この点については2020年度も引き続き検討を行い,原因を明らかにする予定である. また,GaNのエッチングにおいては,表面に形成する酸化物が影響すると言われているが,Ga2O3のエッチング挙動を調べることで,GaNのエッチングを阻害するような悪影響はGa2O3にはほとんど見られないことがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Cl2およびBCl3ガスを用いて,単結晶β-Ga2O3のエッチング特性を明らかにすることができた.本件については,2019年度応用物理学会(秋季および春季学術講演会)にて発表を行った.
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Strategy for Future Research Activity |
今後はエッチング前後の試料の電気測定を行い,ドライエッチングが及ぼすエッチングダメージを評価する予定である.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスにより学会発表が取りやめとなったため,必要としていた旅費が繰越となった.
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