2018 Fiscal Year Research-status Report
Photorechargeable film made by lamination of photovoltaic and rechargeable layers by electrodeposition
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18K04240
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
野見山 輝明 鹿児島大学, 理工学域工学系, 助教 (60274859)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 光蓄電池 / 多孔体 / 酸化チタン / ポリアニリン / 酸化銅 / 酸化亜鉛 / 電着 / 電気化学重合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終目標である「蓄電機能を持つ太陽電池:光蓄電池」に対し,4つの具体的目標「1)発電層となるp型酸化銅/n型酸化亜鉛の連続電着による積層,2) 蓄電層となるTP(チタニア/ポリアニリン複合多孔体)電極の高性能化,3) AZO中間電極の電着による形成,4) 発電層と蓄電層の積層テストと光蓄電池プロトタイプの作製」を設定した. これらに対し年次毎に実施項目を「2018年度:1a) 酸化銅と酸化亜鉛の連続電着による電気化学的エピタキシャル積層膜の形成,2a) ポリアニリンの改質による蓄電部の高エネルギー密度化,2b) TP電極の3次元化による高エネルギー密度と高速充放電の両立,3a) AZO(AlドープZnO)膜の電着による中間電極作製の基礎研究」とした. その結果,1aについて,n型酸化亜鉛上にp型酸化銅を連続的に電着し,良好な整流特性を有する電気化学的エピタキシャル接合を得た.しかしながら,ベースとなる酸化亜鉛結晶を稠密に形成できず接合面積が狭く,十分な光発電性能が得られなかった.さらに,酸化銅層の抵抗率が高く,この上部の集電極による集電効率が著しく低下することが明らかになった.次に2aでは,ポリアニリンの電着液のpHとアニリン濃度を調整して15%程度,蓄電容量を増加できた.また,この過程でTP電極の形成メカニズムを明らかにすることができた.さらに2bについて,種々の3D構造を有するTP蓄電池を作製し性能評価することで,鉛蓄電池程度のエネルギー密度ではあるが,電気化学キャパシタに匹敵する充放電速度を有する蓄電池を開発できた.3aについては未着手. さらに,当初の実施項目に加えて,酸化銅/酸化亜鉛の発電層の代わりにシリコン系太陽電池とTP蓄電層を組み合わせた模擬光蓄電池にて,電気的な動作点の解析を行い,TP蓄電層は光蓄電池の蓄電層として有望であることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前項の概要で述べたように,2018年度:1a) 酸化銅と酸化亜鉛の連続電着による電気化学的エピタキシャル積層膜の形成では,それぞれの層の電着条件の最適化と連続電着による良好な接合面を有する発電層を形成できた.しかしながら,その発電量は目標値の1/100程度で,その原因が「酸化亜鉛膜が稠密でなく接合面積が狭いこと」と「酸化銅部が高抵抗のため集電効率が著しく低いこと」にあることを明らかにした. 2a) ポリアニリンの改質による蓄電部の高エネルギー密度化については,想定通りに研究が進んだが,現状のままでは,高エネルギー密度化の伸びしろが15%しかなく,さらに性能を上げるには,ポリアニリンに代わる材料の開発が必要であることが示唆された. さらに2b) TP電極の3次元化による高エネルギー密度と高速充放電の両立について,TP電極を用いた3D蓄電池を作製し,鉛蓄電池程度のエネルギー密度で電気化学キャパシタに匹敵する充放電速度を有する蓄電池を開発できた.これは,レーザー加工による3D構造化の成果であるが,さらなる高エネルギー密度化には,レーザー加工の精度を上げることが課題となった. 3aのAZO膜については未着手であったが,このベースとなるZnO電着の最適化の過程で,さらに電着電流の変調により結晶品質や成長方向を制御できることが示唆されたため,この知見を生かしたAZO膜の形成が有望と考えている. このように当初に設定した目標に対し、計画に沿って研究に取り組み、ほとんどの項目で想定した成果を得た。これに伴い問題点や課題も明らかになったが、それらの解決案も提示できており、「おおむね順調」と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画では「2019年度:1b) 酸化銅/酸化亜鉛積層膜の後処理による光電変換効率の向上,2a) ポリアニリンの改質による蓄電部の高エネルギー密度化 (前年度から継続),3b) AZO膜の蓄電層もしくは発電層上への積層,4b) 図4の積層構造の構築」と設定していた. これに対して,2018年度進捗を加味し,1bについて,まず酸化亜鉛膜の稠密化に取り組む.そのために電着電流をパルス電流とすることで,電解質中のイオン輸送を制御し,膜横方向の成長を促進する.それにより稠密かつ配向した酸化亜鉛膜を作製する.さらに,酸化銅膜の低抵抗化で集電効率を向上させるために,ドーピングによる低抵抗層を電着する技術を獲得する.これによって,発電用の純粋な酸化銅層→ドープされた低抵抗層の連続電着形成することを狙う.これに加え,集電極として導電ペーストをサブミリ幅程度で直接描画する装置を作製し,集電効率の向上を狙う.その上で,従来の研究計画にあった発電効率の効率向上方法としてあげていた後アニールに取り組む. 2aについては,現状のポリアニリンのままでは15%程度の向上しか期待できないため,他の導電性高分子等の検討をすべきであるが,そのためには多くの手間が必要なため,本研究課題の期間はポリアニリンを用いることとする. 次に3bのAZO層の形成については,1bのパルス電着がAZO層電着にも有効であり,これで高伝導率のAZOを形成する.さらに,これと平行してチタニア多孔体の上にAZOナノ粒子を塗布焼成したAZO導電層の形成に取り組む. 最後に4bの積層構造の構築には,まずチタニア多孔体中に集電極を形成する技術と精度向上が必要となる.このために現状で連続光半導体レーザーを用いているが,パルス電源駆動して数十kHzまでの変調して,レーザーエネルギーを調整し,精度加工精度の向上を狙う予定である.
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Research Products
(12 results)