2019 Fiscal Year Research-status Report
SEM像電位コントラストの原理解明と定量化手法の確立
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18K04246
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
田中 成泰 中部大学, 生命健康科学部, 教授 (70217032)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | シリコン / p-n接合 / SEM / 電位コントラスト |
Outline of Annual Research Achievements |
半導体p-n接合のSEM像で見られるp型とn型の信号強度の違いの成因について、試料としてはシリコンを想定しシミュレーションを用いて検討している。まずは試料表面のポテンシャルに注目した。実際にSEM観察に用いるシリコンは表面にカーボンなどの付着もあり、表面付近でエネルギーバンドが曲がると考えられる。そこでこのバンドの曲がりを考慮した電子散乱のモンテカルロシミュレーションを行い、SEM信号強度が説明できないか調べた。1eV程度に対応する電界を想定してシミュレーションを行ったが、SEMの信号強度の違いが説明できるほどの二次電子放出量の違いは得られなかった。この理由は、散乱電子はエネルギーが低くなるほど、より頻繁に散乱されるようになり、1eV程度に相当する電界の影響はほとんど無いことによると考えられる。そこで次にp型とn型では接合形成により表面のエネルギー準位が違ってくることに注目した。p型n型の領域は接合が形成されると、中性点を基準にそれぞれ上下にエネルギー準位がシフトする。この結果、表面のエネルギー準位もシフトするので、それによってn型側からは表面からの散乱電子(二次電子)がより脱出しにくくなる。一方、p型側は散乱電子がより脱出しやすくなる。この傾向は実験結果と一致する。これを定量的に確かめるために、GEANT4を用いてシミュレーションを行った。シミュレーションは入射電子の加速電圧を実験と同じ3kV、入射電子数は統計的な変動がでないように十分に多くして行った。シミュレーションの結果から、表面から脱出する電子のエネルギー分布を求めた。さらにその結果を使って、p型、n型に対応するエネルギー分布を求め、エネルギーのシフトに対するp-nのコントラストを計算した。まだ確定的な結果は得られていないが、実験の結果を説明できそうな解析結果が得られている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ワークステーションを新規購入し、時間のかかるシミュレーション計算が比較的高速で出来るようになり、研究を効率的に進められるようになったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、まず現在のシミュレーション計算を進め確定的な結論を下せるようにする。また、窒化物系などシリコン以外の半導体にも適用し、実験と比較することで、定量性を判断する。
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Causes of Carryover |
今年度はワークステーションを購入し、主にシミュレーション計算を行ったので効率的に研究が進み若干の次年度使用額が生じた。来年度は実験も併用する予定であるので、実験のための物品購入に当てる予定である。
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