2020 Fiscal Year Research-status Report
SEM像電位コントラストの原理解明と定量化手法の確立
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18K04246
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
田中 成泰 中部大学, 生命健康科学部, 教授 (70217032)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | シリコン / p-n接合 / SEM / 電位コントラスト |
Outline of Annual Research Achievements |
半導体p-n接合のSEM像で見られるp型とn型の信号強度の違いの成因について、試料としてはシリコンを想定しシミュレーションを用いて検討している。まずは試料表面のポテンシャルに注目した。そこでこのバンドの曲がりを考慮した電子散乱のGEANT4を用いたモンテカルロシミュレーションを行い、SEM信号強度が説明できないか調べたが、SEMの信号強度の違いが説明できるほどの二次電子放出量の違いは得られなかった。そこで次にp型とn型では接合形成により表面のエネルギー準位が違ってくることに注目した。p型n型の領域は接合が形成されると、中性点を基準にそれぞれ上下にエネルギー準位がシフトする。この結果、表面のエネルギー準位もシフトするので、それによってn型側からは表面からの散乱電子(二次電子)がより脱出しにくくなる。一方、p型側は散乱電子がより脱出しやすくなる。この傾向は実験結果と一致する。GEANT4を用いたシミュレーションより、表面から脱出する二次電子のエネルギー分布をp型、n型に対して求め、p-nのコントラストを推定したところ、実験値とよく一致した。このことは仕事関数がp-nのコントラストを決める大きな要因であることを示している。しかし、モンテカルロシミュレーションは様々な散乱過程を考慮し精密に計算を行えるが、時間がかかり、実験結果との比較に手間がかかる。そこで迅速に実験結果の解釈が出来ることを目指して、仕事関数を考慮した二次電子スペクトルの理論式を使って、二次電子のスペクトルを計算し、p-nのコントラストを推定してみたところ、実験結果をよく再現することが分かった。本手法は簡便であるが、シリコン以外の材料への適用も容易であるので、他の材料に対する有効性も検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの影響により研究に使うことができる時間が短くなり、結果として研究の進捗が遅れてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
新たな評価方法について、窒化物系などシリコン以外の半導体にも適用し、実験と比較することで有効性を判断する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により研究に費やすることが出来る時間が少なくなり、その結果として次年度使用額が生じた。来年度はコントラストの計算手法の評価のために観察実験を行うので、そのための物品購入費に当てる。
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Research Products
(2 results)