2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of highly-reliable textured piezoelectric ceramics by utilizing shape-controlled single crystal particles
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18K04254
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
石井 啓介 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 電気情報学群, 教授 (30257208)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 圧電セラミックス / 一段階溶融塩法 / 圧延配向法 / Bサイト過剰率 / 圧電単結晶 / 固相成長法 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.Bサイト過剰仮焼粉末から作製したBiおよびCuドープ(K0.5Na0.5)NbO3(KNN)セラミックの焼結性を調べた。Bi無添加KNNセラミックの焼結性に関する従来の報告では、化学量論比の試料やAサイト過剰試料と比して、Bサイト過剰試料の焼結にはより高温が必要であるとされてきた。これに反して、本試料の焼結性はBサイト過剰率の増加と共に改善されることが分かった。Bサイト過剰率を1%まで増加させた際には、化学量論比組成と比して、焼結温度が100℃以上低下することが判明した。この実験結果の原因を解明するために、X線回折とX線光電子分光測定を行った。KNNの液相成長を促進させるK4CuNb8O23の形成がいくつかのBサイト過剰試料で観察された。しかしながら、この第2相のXRDピーク強度とBサイト過剰率との間には明瞭な正の相関が確認できなかった。さらに、X線光電子分光法による評価を行ったところ、Bサイト過剰のKNNセラミックスでは、化学量論比のKNNセラミックスと比して価電子状態がわずかに変化していることが検出された。Aサイトイオンが、Bi原子に置換されたことが、この価電子状態変化の原因と考えられる。 2.仮焼粉のBサイト過剰率(B/A比-1)とBiの添加量とを制御することにより、非種結晶固相成長法によるKNN系単結晶の作製を試みた。特別な焼結助剤を加えること無しに、大型のKNN系単結晶を安定に合成する手法を探索した。その結果、仮焼粉のBサイト過剰率が0.8%以上であるとき、異常粒成長に伴う肥大化した単結晶粒が焼結体中に現れた。焼結性を逆に抑制するBi2O3の仮焼粉中への添加量増加に伴い、これらの単結晶粒の寸法が増大した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
配向セラミックスに使用するテンプレート寸法の小型化と、十分な配向に必要なテンプレート量の削減には成功した。また、焼結温度の低下(焼結性の向上)をもたらす組成制御の知見も得られた。しかし、それらを用いた際に達成されると予想していた、焼結された配向セラミックス自身の結晶粒の大幅な小型化には、現時点で成功していない。そのため、本研究の最終目的であった、小型化した配向結晶粒を有するセラミックスの圧電特性や機械的強度の評価を行う目処が今時点でたっていない。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、結晶粒の小型化を目指したセラミックス作製法の探索を続ける。予定通り小型結晶粒を有する配向セラミックスの作製に成功したならば、速やかに、機械強度特性や圧電特性の評価を行い、本研究をまとめる。 一方、焼結性を制御する目的で行ってきた、仮焼粉のBサイト過剰率とBiの添加量の加減次第では、一部の結晶粒が肥大化する異常粒成長が逆に著しく促進されることが判明した。この発見を元に固相成長法による単結晶の作製を試みたところ、これまで報告例の無い単一の大型単結晶が成長した。本研究の目的を極めて単純化すれば、「高性能で安価な非鉛圧電材料の開発」となる。よって、当初の計画とは異なるが、異常粒成長を利用した大型の非鉛圧電単結晶作製法の開発を視野に入れた研究にも取り組む予定である。安定した単結晶の作製法を確立させることができたなら、得られた単結晶のX線回折を利用した構造評価を始めに、圧電特性や強誘電特性の評価を行い、これまで作製されてきた非鉛圧電配向セラミックスと特性との比較検討を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
入札により、見積価格から支出額が低下したことによって差額が生じた。
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Research Products
(5 results)