2019 Fiscal Year Research-status Report
Voltage-controllable terahertz element using liquid crystal and metallic metastructure
Project/Area Number |
18K04259
|
Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
佐々木 友之 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (90553090)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 浩司 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (10283029)
伊藤 桂一 秋田工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (20290702)
坂本 盛嗣 長岡技術科学大学, 工学研究科, 助教 (60757300)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | テラヘルツ/赤外材料・素子 / 液晶 / メタマテリアル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、各種テラヘルツ(THz)波応用システムの普及と高度化に資する液晶を用いた電圧駆動型THz素子の実現を目的に実施している。液晶は屈折率異方性と外場応答性を併せ持つ稀有な材料であり、ディスプレイや空間光変調器等、光領域においては広く用いられている。近年、THz波の動的伝搬制御技術に対する需要の高まりを見越し、液晶を用いたTHz素子に関する研究が行われ始めているが、THz帯域における透明電極用材料の探索等、実用化に向けての課題は多い。一方で、電磁波の高度伝搬制御のためには、金属微細構造によるメタマテリアルも非常に魅力的である。しかしながら、微小なメタ原子の外場制御には技術的に大きな困難が伴う。本研究では、液晶と金属メタ構造とを相補的に利用するとともに、申請者らが独自に確立した液晶の多次元光配向技術を用いることで、THz波の振幅、位相、偏波、伝搬方向等を、電圧印加により複合的かつ高度に制御可能な動的THz素子の創製を目指す。 令和元年度は、主として、液晶を内包するメタサーフェス(メタルメッシュ)によるTHz帯での偏波変換素子についての研究に取り組んだ。サブ波長のメタルメッシュはバンドパスフィルターとして機能することが古くから知られているが、その開口部分に誘電率の一軸異方性を想定することで、同様の厚さを有する均質な一軸異方性媒質よりも、実効的な複屈折が著しく増大することを数値シミュレーションによって独自に見出した。また、このことを実証すべく、メタルメッシュをフォトリソグラフィにより作製し、その開口部分でネマチック液晶を配向させた試料を作製し、THz時間領域分光法によりその特性を調査した。これにより、低損失かつ高速動作可能な電圧駆動型THz偏波変換素子の実現可能性が示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
液晶と金属メタサーフェスとを組み合わせることにより、極めて大きな屈折率異方性を有する構造体が得られることを見出し、本研究の目的に十分相当するような成果が得られたと考えられるため。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度(令和2年度、最終年度)は、当初の計画に沿って、光配向技術により液晶の配向を多次元化、サブ波長構造化することで、素子のさらなる高機能化を目指す。また、前年度取り組んだ偏波変換素子についても、実効複屈折増大のメカニズムを体系的にまとめる。これにより、液晶を内包するメタマテリアルの有用性がより分かりやすい形で示すことができ、実際の応用が加速するものと考えている。
|
Causes of Carryover |
平成30年度の設備備品費の明細に、光配向構造及び金属メタ構造作製用の紫外ダイオード励起固体レーザー(2,840千円程度)の購入費用を計上していたが、研究分担者が保有する紫外He-Cdレーザーを使わせていただくことができ、購入を見合わせたため、当該年度も次年度使用額が生じた。この分は、主として、数値計算用シミュレーター、電気計測用機器類、液晶材料や石英ガラス基板等の消耗品の購入に充てる。
|
Research Products
(6 results)