2021 Fiscal Year Research-status Report
高効率な海水中ワイヤレス電力伝送を実現する電気二重層結合器の研究
Project/Area Number |
18K04262
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
田村 昌也 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50736410)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 水中無線電力伝送 / 無線電力伝送 / 電界結合 / 海中 / 電気二重層 / 導電性 |
Outline of Annual Research Achievements |
4枚の平板電極からなるシンプルな結合器構造による海中でのワイヤレス電力伝送の実現を目指している。この方法はシステムの軽量化に適しており、またフェライトや金属による遮蔽も不要であるため主に移動体への給電技術として有効であると考えられる。ただ、平板電極間に発生する電界を使って送電しようとすると、海水の高い導電率によるQ値の低下から高効率電力伝送が困難である。そこで、本研究は海水中での電極表面に発生する電気二重層に注目して研究を進めてきた。 これまでに、電気二重層を使用した場合は約10 kHzの低周波で電力伝送できる一方、RF-RF伝送効率80%以上を維持できる送電距離は5mm程度であることが明らかになっている。また、送電周波数を高くしていくと電気二重層効果による容量性結合から通常の容量性結合に切り替わることが分かっている。そして、その容量性結合を介した電力伝送経路のほか、海水の導電性結合による電力伝送経路が存在することも発見している。 この導電性を積極的に使用する結合器構造を検討し、令和2年度後半から令和3年度にかけて水中ドローンへ搭載して実証実験を行った。結果、海中に常設する給電ステーションに設けたクッションダンパーを利用することで、高効率化を達成しただけでなく位置ずれにも強い結合器構造を実現した。クッションダンパーで囲われた範囲内であれば、平板電極が完全に正対していなくても伝送効率90%以上を達成した。さらに、同じ結合器を用いて水中ドローンに搭載したカメラの動画をリアルタイムでノートパソコンへ伝送することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究期間内に掲げたタスクはすべて完了した。一方、コロナの影響で実験部材の入手・実験データの取得および整理に時間を要したため、対外発表、論文投稿だけ当初の予定より遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍で取得・整理が遅れた研究成果をまとめ、論文投稿を行う。また査読者のコメントをもとに必要に応じて理論補強用の解析・実験も行う。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で研究成果の取得・整理が遅れ、期間内に論文が投稿できなかった。そのため、補助事業期間を延長し、残額を論文投稿費や査読者のコメントに対する理論補強用に行う解析・実験のための解析ツール年間ライセンス費や実験部材費に使用する予定である。
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