2022 Fiscal Year Research-status Report
Fabrication of static / dynamic smart window by using silver nano-structure for optical devices
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18K04269
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Research Institution | Tokyo Polytechnic University |
Principal Investigator |
内田 孝幸 東京工芸大学, 工学部, 教授 (80203537)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 銀ナノ粒子 / プラズモン / エレクトロクロミズム / スマートウィンドウ / 熱遮蔽 / Zスキーム |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、これまでの研究の知見をもとに銀ナノ粒子の応用の可能性を探った、可逆的な動作ではないがスタティックなものとして銀ナノ粒子を透明導電膜であるITO(スズ添加インジウム酸化物)の薄膜でサンドイッチした構造を作成し、特に近年注目の集まっている、透明アンテナの応用を検討した。この構造では、ITO単体の薄膜では得られない、高い透明性(76.7%)と高い放射効率(81.4%)の基本構造モノポールアンテナを得ることが出来た。特に、得られた放射効率は、一般的なモバイル機器やウェアラブル機器に内蔵される小型アンテナを上回るものであり、優れた特性、実用性、有用性を有している。 また、本研究の主たる目的は、銀ナノ粒子を電気的に移動と固定を自在に操ることである。この観点から、セルロース基板にジメチルテレフタレート系エレクトロクロミック溶液を含浸させたエレクトロクロミックデバイスを作製した。セルロース基板をアルファベットの形にカットすることで、エレクトロクロミック文字を表示することが出来た。 スマートウィンドウとは、主には、熱の流入/流出をコントロールする機能性を有した窓を指す場合が多いが、広義には、透明窓から照明やディスプレイデバイスのような機能を内包するものも含まれる。そこで、この研究の最終成果として、これらの概念すなわち、有機ELを用いた透明ディスプレイと、透明/鏡/黒表示できる、エレクトロクロミック素子の機能を組み合わせた、ハイブリッドな素子において銀ナノ構造体の有意性・有効性を示す準備に入っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
銀のナノ粒子がもつ、ポテンシャルは多岐に渡るため、多方面に渡る結果とはなるが、この研究を通じて、多くの知見を得ることが出来た。具体的には、銀ナノ粒子を用いて、透明導電性酸化物の薄膜であるITO(ズズ添加インジウム酸化膜)でサンドイッチした、積層構造を有する薄膜を作製した、それを用いて、基本構造モノポールアンテナを作製し透明性(76.7%)と高い放射効率(81.4%)という、トップクラスのスペックを有する透明アンテナを得ることが出来た。また、電気的移動の観点からは、セルロース基板にジメチルテレフタレート系エレクトロクロミック溶液を含浸させたエレクトロクロミックデバイスを作製した。セルロース基板をアルファベットの形にカットすることで、エレクトロクロミック文字を表示することが出来た。この知見から銀ナノ粒子への応用が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
銀ナノ粒子の挙動は、特に、孤立したナノ粒子におけるプラズモンの影響が大きく、そのナノレベルでの粒径、形状(アスペクト比)などが、強く関わってくる。また、ナノ粒子は通常、2量体などの凝集体を作って、エネルギーを下げることが多く、そのため、光吸収の観点からすると、レッドシフトを起こす。 スマートウィンドウという、概念、社会的位置づけは、調色もしくは、その機能による熱流入、流出の制御がSDGsやグリーンイノベーションに寄与する役割が大きいため、上記の、ナノ粒子における光吸収のメカニズム解明と合わせて、これらの事象を、理解し、応用につなげる予定である。 また、研究環境としてコロナの影響もほぼ、無くなってきたため、通常の研究活動として次年度(2024年度)をこの研究の集大成として進める。具体的には、本研究のテーマに関する、書籍を分担執筆の本ではあるが執筆する予定で進めている。
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Causes of Carryover |
この研究の最後の集大成としてスマートウィンドウの本の一部を執筆するため、予算の一部を繰り越した。
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