2018 Fiscal Year Research-status Report
Hybrid transfection using a combination of nanosecond shock wave and pulse electric field with piezoelectric loading device
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18K04271
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
會澤 康治 金沢工業大学, 工学部, 教授 (40222450)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小木 美恵子 金沢工業大学, 基礎教育部, 教授 (50410288)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 衝撃波 / パルス電界 / ナノ秒 / 外来物質導入 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,衝撃波・パルス電界の併用によるヒト正常細胞への外来物質導入とそれを可能にする圧電体を用いたデバイス・システムの開発である.平成30年度は衝撃波・パルス電界の併用に用いるナノ秒衝撃波照射システムおよびナノ秒パルス電界照射システムの性能を調べた. ナノ秒衝撃波照射システムでは,既設のLD励起Qスイッチレーザパルス(波長:527 nm,レーザエネルギー:10 mJ,パルス幅:6-10 ns)を黒色ゴム・接着層(エポキシ系)・ポリエチレンテレフタレート構造のターゲットに照射して発生させたナノ秒レーザ誘起応力波(LISW)を使用する.LISW照射により純水を入れた市販の細胞培養容器(IWAKI,ガラスベースディッシュ)内に生じた圧力波の強度は細胞への外来物質導入に必要な大きさ(最大圧力値:約28 MPa)であった.このシステムを使い,ヒト接着細胞のHeLaとFibroblastに対して単発LISW照射実験を3サンプル1試行で行ったところ,蛍光標識した4kDaのデキストランを接着状態のまま細胞内に導入でき,かつがん細胞より正常細胞の方が5倍程度高く導入されることがわかった.細胞が接着したままの領域と剥がれた領域の境界に外来物質導入による陽性細胞が多くみられたことから,我々は,細胞間結合力が強いほど剥離により細胞膜に多くの欠損が生じ,その結果,物質が多く導入されたと推測している. ナノ秒パルス電界照射システムの検討では,ナノ秒パルス電界列印加とミリ秒パルス電界印加との組み合わせによるヒト急性骨髄性白血病細胞株への緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子をコードしたプラスミドDNAの導入実験を行った.実験では,パルス電界を組み合わせた場合,ナノ秒パルス電界列単独やミリ秒パルス電界単独に比べ数%程度多くの細胞でGFP発現を確認しており,現在も継続中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ナノ秒衝撃波照射システムおよびナノ秒パルス電界照射システムの動作特性について検討できた.一方,新たに購入したパルスパワー電源装置を使ったハイブリッド・トランスフェクションシステムの構築と動作特性の検討は遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度(令和元年度)はハイブリッド・トランスフェクションシステム構築を優先する.また同時に圧電体を培養容器に装荷したデバイスの作製とヒト培養細胞を使った細胞生存率や外来物質導入効率の実験的検証を行う.圧電装荷デバイスの作製では,市販の細胞培養容器(電極付き)の電極上に厚さ100μm程度のPVDF圧電膜を形成もしくは接着して,その電気・音響特性を評価する.また必要に応じて研究代表者は圧電膜の形成や評価において研究協力者の助言を得る.得られた研究成果をもとに研究代表者らは,ハイブリッド・トランスフェクションシステムを使って,ヒト細胞への衝撃波・パルス電界照射実験を試みる.研究分担者は,衝撃波やパルス電界の波形や強さと細胞生存率や外来物質の導入率などを調べる.これらは既設の設備を用いて研究分担者の施設で実施する.
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Causes of Carryover |
(理由)消耗品や旅費の支出にあたり、他の予算(校費)の一部を流用したため、当初予定していた予算よりも少ない金額で実施できた。
(使用計画)次年度使用額は主に消耗品代にあてるが、成果発表や旅費に関する支出が予算額を上回る場合、次年度使用額の一部をこれにあてる予定である。
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