2019 Fiscal Year Research-status Report
圧電装荷デバイスによるナノ秒衝撃波・パルス電界ハイブリッドトランスフェクション
Project/Area Number |
18K04271
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
會澤 康治 金沢工業大学, 工学部, 教授 (40222450)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小木 美恵子 金沢工業大学, 基礎教育部, 教授 (50410288)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 衝撃波 / パルス電界 / ナノ秒 / 外来物質導入 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,衝撃波・パルス電界の併用によるヒト正常細胞への外来物質導入とそれを可能にする圧電体を用いたデバイス・システムの開発である.平成31(令和元)年度は,パルスパワー電源装置を使ったハイブリッド・トランスフェクションシステムの構築と動作特性の検討,および計算機シミュレーションによる培養容器内部の衝撃波伝搬解析を行い,以下に示す知見が得られた. 平成31(令和元)年度は,昨年度の成果を踏まえて,細胞培養容器にCuvetteを用いたハイブリッド・トランスフェクションシステムを構築した.実験では,Opti-MEM I(1X)(Gibco, cat.no. 31985-062)培地を入れたCuvette(Nepa Gene)にmsEPあるいはnsEPを印加した時の電流―電圧特性を培地量ごとに調べた.昨年度の成果から,nsEPでは32 kV/cm (印加電圧6.4 kV),かつmsEPでは1 kV/cm(印加電圧200 V)をパルス幅1 msで印加パルス数5回以上を満足する必要がある.構築したシステムは,電極ギャップ2 mmのCuvette(Nepa Gene, EC002)を使う場合,培地量200 μLにおいて,導入実験が要求する条件を満足することを確認した. Cuvette内の衝撃波伝搬については,時間領域差分法による波動伝搬シミュレーションで解析した.今回は,媒質に水を仮定し,Cuvette内部(媒質:水)の音圧分布を解析した.解析空間の分割数は500(差分量25 μm)とし,厚さ1 mmのCuvette底面(ポリカーボネート)に印加応力を点で与えた.結果として,電極間隔2mmのCuvette内部の音圧は,中心軸上において底面からおよそ1 mmの距離で飽和することが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
パルスパワー電源装置とCuvetteを使ったハイブリッド・トランスフェクションシステムが完成し,その動作特性を調べた.一方,ヒト培養細胞を使った細胞生存率や外来物質導入効率等の検証実験は,年度はじめからの既設設備の移転と立ち上げ作業等があったこともあり,構築したハイブリッド・トランスフェクションシステムを使った実験を年度内に実施出来なかった.現在は,細胞実験に必要な設備も稼働しており,今後の実験遂行に支障はない.
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は,本研究課題の最終年度にあたるため,ヒト細胞への衝撃波・パルス電界照射実験と研究の総括に注力する.研究代表者は,Cuvetteを使った圧電装荷デバイスの準備とハイブリッド・トランスフェクションシステムを使ったヒト細胞への衝撃波・パルス電界照射実験を行い,最後に研究を総括する.研究分担者は,衝撃波やパルス電界の波形や強さと細胞生存率や外来物質の導入率などを調べる.まずはFITCデキストランの導入実験を行い、最終的にはDNA導入による遺伝子発現まで確かめる.細胞実験は既設の設備を用いて研究分担者の施設で実施する.
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Causes of Carryover |
ヒト培養細胞を使った細胞生存率や外来物質導入効率等の検証実験は,年度はじめからの既設設備の移転と立ち上げ作業等があったこともあり、物品費として計上していた当該実験に使用予定の消耗品を計画通り使用できなかった。次年度はヒト細胞への衝撃波・パルス電界照射実験に注力することで、請求した助成金の一部と次年度使用額は、主にこの実験に使用する消耗品購入費にあてる予定である。
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