2019 Fiscal Year Research-status Report
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18K04281
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
大森 雅登 大分大学, 理工学部, 准教授 (70454444)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 窒化ガリウム / GaN / フォトトランジスタ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、光でゲート制御するGaN縦型パワートランジスタを実現するため、GaN自立基板を用いたフォトトランジスタ構造素子の作製とその特性評価を行うことを目的としている。平成31度では、作製したフォトトランジスタ素子の電気伝導特性と光照射特性の評価を行った。npn構造の両n型層に電極を形成し,エミッタ,コレクタの2端子にて電流電圧特性を測定した。まず表面n型層のSiをイオン注入の活性化アニール温度が1100℃と1200℃の2種類の素子で比較したところ,1100℃のものは特性のバラつきが大きく再現性も低いことから,結晶回復が悪くpn界面に欠陥が多く存在し,正常な特性が得られないことがわかった。他方1200℃の素子は特性が安定しており,理論値に近い特性が得られた。次に,波長325nmのHe-Cdレーザーを様々な光強度で照射し,電流電圧特性を測定した。その結果,暗状態ではほぼ流れていなかったエミッタ・コレクタ間電流が光照射により大幅に増加することが確認でき,光によるON/OFF動作を実証することができた。また,光強度を増大させると,指数関数的に電流が増加することから,光吸収による電流ではなく,光キャリア蓄積によりベースp型層を順方向にバイアスさせた効果によることを確認した。さらにエミッタ・コレクタ間電流の光強度特性から,ゲート照射光のしきい値強度の評価やオン抵抗の評価も行った。研究計画に記したLED光源を用いた測定では,光強度が弱かったことから指数関数的な電流増加が確認されなかったため,LED波長の変更と並列化による高強度化の検討を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成31年度の研究計画では、作製したフォトトランジスタ素子の電流電圧特性と光照射特性の評価を行うとしていた。研究実績の概要で述べた通り,これらの計画はほぼ達成されていることから,本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度では,様々な波長の光を照射し特性評価を行うことで,最適なゲート照射光源の選定を行う。さらに素子の過渡応答特性を調べることでスイッチング性能を詳しく評価する。また,これまでの知見をもとに高耐圧素子の設計を作製を行い,その特性評価を進めていく。
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Causes of Carryover |
当初の計画ではGaNエピウエハをメーカーから購入することを想定していたが、素子作製と条件出しが順調に進み必要枚数が減ったことと、共同研究先から比較的安価にエピ基板が入手できたことから,次年度使用額が生じた。令和2年度ではゲート用の光源を多数購入する必要があるため、次年度使用額はこの費用に充てる。
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