2018 Fiscal Year Research-status Report
圧電MEMSエネルギ変換デバイス高性能化のための強誘電体不揮発応力メカニズム制御
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18K04283
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
山下 馨 京都工芸繊維大学, 電気電子工学系, 教授 (40263230)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野田 実 京都工芸繊維大学, 電気電子工学系, 教授 (20294168)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 圧電体 / 共振 / 応力 / 周波数制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
振動型圧電MEMSデバイスにおいて,動的に共振周波数可変な機構を導入し飛躍的な高性能化を図る。積層圧電ダイアフラム構造においてはダイアフラムの座屈に依存した周波数シフトが確認されている。本年度は座屈撓みを逆圧電応力により変化させパルス応答振動モードを評価した。 良好な圧電性を持つ強誘電体PZT薄膜によるキャパシタとシリコン熱酸化膜の二重構造からなるダイアフラムについて,座屈撓み12μm程度に対して10V程度までの電圧を印加することにより,撓み量を2μm程度まで減少させることができた。各種撓み量をもつ段階でのダイアフラムにパルス超音波を印加して,走査型レーザドプラ振動計にて振動モードを計測し固有周波数を評価した。撓み量が8μm程度よりも大きい領域では,従来知られていた静的座屈をもつダイアフラムと同様に少数の振動モードのみが現れ,しかも振動振幅は特定の主要なモードのみが大きくほぼ単一の振動モードが支配的となった。さらに印加電圧を上昇させて撓み量を小さくすると,今度は従来の静的座屈ダイアフラムの場合と異なり多数のモードに分岐することなく,各モードの周波数が一様に変化するのみとなった。これは逆圧電効果によりダイアフラム面内に強い引張応力が生じたため,複雑なモードの出現を抑制したものと考える。また共振周波数変化の観点で捉えると,印加電圧の上昇に伴い撓み量が減少するに従い,従来と同様に共振周波数が低下した。一方さらに印加電圧を上昇させると,抗電界に対応する電圧の前後から共振周波数が上昇する現象が見られた。これらのことは,印加電圧に対する周波数変化が,従来知られていた平坦ダイアフラムでの上向きバタフライと座屈ダイアフラムでの下向きバタフライの間で途中遷移しているものと推測される。次年度以降この観点でさらに詳細に共振挙動を追究したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実施計画としていた,電圧印加による逆圧電応力を利用した共振周波数シフトについて,新たに導入した走査型レーザドプラ計測法により,これまで分離できていなかった共振周波数変化と支配的振動モードの遷移を分離して把握理解できる可能性が示された。これによりダイアフラムの座屈に依存した共振周波数シフトの変化が説明できる可能性があり,次年度以降の具体的な研究推進方向が明確になったため。
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Strategy for Future Research Activity |
MEMSデバイスの共振周波数制御方法について,新しい計測方法を導入することにより示唆された,共振周波数変化と支配的振動モードの遷移を分離して理解・把握できるように計測方法と測定計の改良を進め,ダイアフラムの座屈に依存した共振周波数シフトの変化の原因を追究する。
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Causes of Carryover |
(理由) サンプル作製を行ったがむしろ作製したサンプルの測定評価に時間がかかったため消耗品の支出が少なく当初予定より使用金額が少なくなった。 (使用計画) 2年度め以降多数のサンプルを作製するとともに,昨年度の測定評価系に工夫の余地があることがわかっており,測定系の改良にも支出する予定である。
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Research Products
(6 results)