2019 Fiscal Year Research-status Report
ZnSe系有機-無機ハイブリッド型紫外集積APDの実用開発
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18K04284
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
阿部 友紀 鳥取大学, 工学研究科, 准教授 (20294340)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市野 邦男 鳥取大学, 工学研究科, 教授 (90263483)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アバランシェフォトダイオード / 紫外線 / APD / ZnSe / 有機-無機ハイブリッド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,ZnSe系有機-無機ハイブリッド型APDにより紫外APDのもつ感度および暗電流などの課題を打破して,紫外線領域で初めて実用的な集積型APDを実現することを目的とする.光検出器の性能で最も重要なものは,高い感度(外部量子効率)および低い暗電流であり,この両立により高い光検出能D*が実現される.本研究は,無機層としてZnSSeを,有機層としてPEDOT:PSSを用いたZnSe系有機-無機ハイブリッド型APDにおいて,低暗電流化・安定動作化,および集積化を目指し,実用に供しうる紫外線領域の全固体高感度集積型光検出器を実現しようとするものである. 本研究では,高密度集積化APDアレイの実現を目的とする.そのために,均一な素子形状が求められる.まず,均一な窓層形成にフォトリソグラフィの導入を検討する.フォトリソグラフィによって作製された素子の特性を評価し,従来のインクジェット法を用いた素子との比較を行なう.また,窓層形成後の電極について,Agペーストを用いた手作業によるボンディングの替わりに,金属薄膜電極を形成することで,電極形状の均一化を図った. まず,フォトリソグラフィによって窓層形成された素子の諸特性を解析し,インクジェット素子との比較を行なった.逆方向I-V特性ではブレークダウン直前のリーク電流が10^-10A/mm2以下でインクジェット素子と同様に高品質であり,外部量子効率は波長340nmで最大70%となった.また,最大増倍率は3100倍とインクジェット素子と比べて大きく向上した. 次に,APD基板上にフォトリソグラフィでSU-8絶縁膜を形成し,EB蒸着でAu/Ti薄膜電極を形成した.これにより,窓層表面に直接ボンディングしない均一な電極が形成され,電極形成後の素子でAPD動作が確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は外部電極の形成まで開発を進めることができた。SU-8絶縁膜をフォトリソグラフィによりAPD基板上に形成し,その上に電極用フォトレジストをパターニングして,Au/Ti薄膜を電子ビーム(EB)蒸着により蒸着した.フォトレジストをリフトオフすることで薄膜電極を形成したところ,絶縁膜上から窓層上にわたって想定通りに薄膜電極が形成されていることがわかった.次に,薄膜電極が形成された素子のI-V特性を測定したところ,電圧値28Vにおいて急峻なブレークダウンが確認された.これにより,絶縁膜および薄膜電極の形成によってAPD動作が損なわれないことが示された.
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Strategy for Future Research Activity |
フォトリソグラフィ素子における増倍率向上の要因を特定し,素子品質の歩留まり向上を目指す.また,フォトリソグラフィによる窓層形成,およびAu/Ti薄膜電極の設置後,外部基板とAgスクリーン電極を設置することで集積化一次元アレイの作製を試みる.作製された一次元アレイの素子特性の評価を行なう.
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Research Products
(3 results)