2020 Fiscal Year Research-status Report
The improvement of efficiency and durability in organic solar cells by nanometer-size metal particles
Project/Area Number |
18K04292
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
服藤 憲司 立命館大学, 理工学部, 教授 (60442472)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 有機太陽電池 / 電力変化効率 / 光照射耐久性 / 金ナノ粒子 / プラズモン効果 / 加熱処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
電力変換効率や光照射耐久性が低いという有機太陽電池の本質的な課題の解決のために、ITO電極上の、薄膜有機層と極薄膜金層を組み合わせたアノードバッファ層の加熱処理効果について研究を進めた。有機材料の純度と膜厚の厳密な制御が容易な、古典的なヘテロ接合低分子型有機太陽電池を対象にした。アノードバッファ層として、ITO電極上に3nmのペンタセン有機層を成膜し、さらに、0.3 nm 程度の膜厚の極薄膜金層を蒸着した。これらの層を、温度と時間を制御しながら電気炉内で加熱処理し、表面拡散による凝集効果で、ナノメートル・オーダーの島状金微粒子を形成する。この金微粒子の大きさと面密度を調整して、有機太陽電池の性能に対する体系的なデータを取得した。 加熱処理なしの場合には、電力変換効率や光照射耐久性はあまり良くないが、100℃で30分間程度加熱処理すると最適な動作特性を示し、アノードバッファ層がない場合と比べて、初期効率は、ほぼ同等値を保ちながら、70%以上の耐久性向上を確認した。 この要因を調べるために、原子間力顕微鏡や走査型電子顕微鏡による表面観察、X線回折による有機膜の結晶性評価、分光測定による薄膜金蒸着層の光学的効果などの分析作業を進めた。また、TOF-SIMS分析により、薄膜金蒸着層原子の、有機膜積層面に垂直な層間拡散を実験的に詳細に調べた。 これらの結果から、ペンタセン有機層上の金ナノ粒子は、以下の2つの効果の可能性があることを明らかにした。1つ目は、入射光の内、劣化を誘起するUV光を大きく消光する。2つ目は、アノードバッファ層の上に積層するドナー有機層に対する微細で緻密な核形成サイトを作り、これが、ドナー層分子に対するピン留め効果をもたらし、光入射による加熱過程でのドナー層分子の移動や結晶崩れを阻止する。これらが、有機太陽電池の光照射耐久性の向上をもたらすと考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
低分子型有機太陽電池を対象にして、ITO電極上のペンタセン有機層と金ナノ粒子で構成されるアノードバッファ層に対する加熱処理が、電力変換効率や光照射耐久性に及ぼす効果について、体系的なデータを取得し、解析を進めることができた。 実験は次のように進めることができた。アノードとなるITO電極上に、3nmのペンタセン有機層を成膜した上に、0.3 nm 程度の膜厚の薄膜金層を蒸着した。これを、温度と時間を制御しながら電気炉内で加熱処理を施し、金ナノ粒子の大きさと面密度を調整した。この一連の実験により、加熱条件を最適化すると、アノードバッファ層がない場合と比べて、初期効率は、ほぼ同等値を保ちながら、70%以上の耐久性向上を確認することができた。 ペンタセン有機層上の金ナノ粒子は、以下の2つの効果の可能性があることを明らかにすることができた。1つ目は、入射光の内、劣化を誘起するUV光を大きく消光する。2つ目は、アノードバッファ層の上に積層するドナー有機層に対する微細で緻密な核形成サイトを作り、これが、ドナー層分子に対するピン留め効果をもたらし、光入射による加熱過程でのドナー層分子の移動や結晶崩れを阻止する。 以上より、本研究は、現在までは、おおむね順調に進捗している。しかし、島状金ナノ粒子から期待される、プラズモン効果による電力変換効率の向上が確認できていない。一連の実験データの分析をさらに進め、金ナノ粒子層の構造と、これがもたらす物理的なメカニズムを明らかにしていく必要がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
島状金ナノ粒子から期待される、プラズモン効果による電力変換効率の向上が確認できていないので、一連の実験データの分析をさらに進め、金ナノ粒子層の構造と、これがもたらす物理的なメカニズムを明らかにしていく。 このために、光学シミュレーションを用い、電界の空間分布と光エネルギーの吸収についての解析を行っていく。同時に、島状銀ナノ粒子との比較を行い、金ナノ粒子との違いから、貴金属ナノ粒子の役割を調べていく。 査読付雑誌論文の発表と、昨年度、十分に行えなかった学会発表を行う。
|
Causes of Carryover |
予定していた海外での幾つかの学会発表が、新型コロナウイルス問題の影響で中止せざるを得なかったため、次年度使用額が生じた。この次年度使用額は、査読付雑誌論文の準備と投稿費用や、島状金及び銀ナノ粒子がもたらす物理的なメカニズムと効果を調べていくための材料費、試料分析費、実験設備部品、及び、データ解析を行うためのソフトウエア保守費、購入費に使用する。また、昨年度実施できなかった、学会発表のためにも充当する。
|