2019 Fiscal Year Research-status Report
コンクリート構造物の体積変化に伴うひび割れ予測評価手法の高精度化
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18K04312
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
溝渕 利明 法政大学, デザイン工学部, 教授 (60339504)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 熱膨張係数 / 温度ひずみ / 自己収縮ひずみ / 体積ひずみ / 直引張強度 |
Outline of Annual Research Achievements |
土木分野における鉄筋コンクリート構造物の多くは,マッシブなコンクリート構造物であり,セメントの水和発熱に起因する体積変化(温度変化に伴う膨張・収縮及び自己収縮等の硬化収縮)によってひび割れが生じる場合がある。この体積変化に伴うひび割れは,比較的若材齢時で生じることから,セメントの水和熱によって部材内に数十℃の温度変化が生じるマッシブなコンクリート構造物において,引張強度やヤング係数などのセメントの水和速度の影響を大きく受ける設計用値に対して,温度依存性を十分考慮する必要がある。したがって,上述した現状の問題点を解決するためには,現場で簡便にひび割れの予測解析に必要な設計用値の取得及び評価が可能なシステムを開発していく必要がある。 令和元年度では,これまでひび割れ予測解析において,温度ひずみ及び自己収縮ひずみについて各々予測式を用いて算定していたのに対して,本年度は法政大学で開発した簡易物性評価試験装置において温度ひずみ及び自己収縮ひずみを同時に測定していることを利用して,両者を分離することなく,両者を含んだ温度変化に伴う体積ひずみ変化率として新たに定義し,従来の熱膨張係数及び自己収縮ひずみを用いないで体積ひずみ変化率からひび割れ予測解析を実施する方法を提案した。また,本提案式について材料・配合を変化させた場合の実験を実施するとともに,それらの結果を用いた解析を実施し,従来法と比較して,従来の解析手法とほぼ同様な結果が得られることを確認した。また,直接引張強度について,マスコンクリートの実構造物からコアを採取して,直接引張試験を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたケースに加えて,現場での簡易物性試験装置を用いたデータの取得を行い,それらの結果を利用して,新しい解析手法との比較検討を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
若材齢時のクリープ特性に関しては,簡易物性評価試験装置を用いて行うことが難しいことから,簡易クリープ試験装置を開発し,若材齢時でのクリープ特性を把握する。また,この試験装置で得られた弾性ひずみ,クリープひずみを基にクリープ係数を算定し,それを基にヤング係数の低減係数を算出するものとする。
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