2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of diffusion barrier materials using inorganic ion exchanger for hazardous ions.
Project/Area Number |
18K04316
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
苑田 晃成 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 上級主任研究員 (90357335)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | マンガンー鉄系吸着剤 / ゲル / ヒ素 / 寒天 / アルギン酸 / 遮水 / 拡散防止材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、マンガン系イオン交換体(セシウムやヒ素を選択的に吸着)と安価な担体を用い、ゲル状成形を行い、有害物質の拡散防止材料を開発する。 平成30年度は、3か年計画の1年目で、汚染物質の拡散防止に有効なゲル化材料の選定を行った。汚染物質としては、ヒ素をターゲットに研究を進め、ヒ素に対して有効な無機イオン吸着剤であるマンガン-鉄系吸着剤を調整し、乾燥すること無く、スラリー状のまま、様々なゲル化剤材料を用いてゲル状に成形し、拡散防止剤としての適用について、検討した。 ゲル化材料として寒天を用いた場合、モノリス状の成形体が得られた。この成形体は遮水効果が高く、接触面積が限定的であるのも関わらず、水溶液中のヒ素濃度(1ppm)を0.1ppm以下に低減する効果も見られた。また、このモノリス状の成形体は、機械的に一旦破壊すると再結合されず、粒子間に水が流れることが判った。その場合、水溶液からより効果的にヒ素を吸着出来るため、カラム処理に適用出来る事を明らかにした。一旦破壊したゲル状成形体を寒天のゲル化温度以上に加熱し、再度冷却することで、再び、モノリス状となり、遮水できる事も明らかにした。湿式法で製造したスラリー状マンガン-鉄系吸着剤は、固液分離、乾燥・粉砕、分級の工程を省略でき、コスト的にも有利で、ゲル状成形にも悪影響を及ぼすことはなかった。 アルギン酸系のゲル化剤は、カルシウムイオンで架橋しゲル化させたが、遮水性の低い性状で、ゲル濃度、カルシウム濃度で、性状の異なるものが得られた。乾燥すると膜状成形体も得られることから、限定的な用途においては、拡散防止にも有効と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究において、安定な形状を保ち、遮水効果ならびに吸着性能を有する拡散防止材料を成形することが、第1段階であった。1年目に「寒天」をゲル化材料として選定する事で、概ね達成出来た。2年目以降に、吸着剤の分散性、ゲル状成形体の強度、有害イオン(ヒ素およびセシウム)の遮蔽性を評価する計画なので、概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度以降は、当初の計画通り、[2]マンガン-鉄系吸着剤の分散性、[3]ゲル状成形体の架橋度とせん断強度の関係を評価、[4]有害イオン(ヒ素およびセシウム)の遮蔽性評価について、検討する予定。
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Causes of Carryover |
出張して分析を行う機会が少なかったため、旅費と依頼分析に要する費用が予定より抑えられた。また、英文校正費用や論文・特許情報検索・複写費も、作成が遅れたため、発生しなかった。消耗品についても、不足、破損しなかったため、次年度以降に購入を延期した。 作成が遅れている論文作成に関する費用、購入を延期した消耗品については、今年度支出する予定。また、1年目の研究計画では予定していなかた分析装置使用に関する経費負担が今年度は発生する。 研究所内で評価出来ない項目については、出張し分析・評価を行う予定。
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