2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of diffusion barrier materials using inorganic ion exchanger for hazardous ions.
Project/Area Number |
18K04316
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
苑田 晃成 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 上級主任研究員 (90357335)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | バーネサイト / ゲル / セシウム / 寒天 / プルシアンブルー / 遮水 / 拡散防止材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、MnーFe系イオン交換体(CsやAsを選択的に吸着)と安価な担体を用い、ゲル状成形を行い、有害物質の拡散防止材料を開発する。 平成31年度は、3か年計画の2年目で、ゲル状成形体の強度、有害イオン(主にCs)の遮蔽性を評価した。はじめに、異なる濃度(1, 2, 3, 4 %)の寒天ゲルを作成し、レオメーターを用いて、破断応力の測定を行った。濃度と共に約10から80kPaまで強度は増加した。次にCs吸着性を有するNaBirのスラリーを等量添加した2%寒天ゲルの測定を行ったところ、約20kPaと半減した。吸着剤を寒天ゲルに分散させた場合、ゲル強度が低下することを考慮し、初期寒天濃度を高めに設定することにした。NaBir寒天溶液(1.5%)を調製し、24mL注射筒(4本)に、3, 6, 9, 12 mLずつ入れ、室温で凝固させた。注射筒上部に10mM HCl 10mLを添加し、注射筒下部に接続した三方コックを解放し、透過する液量から、遮水性を評価した。ゲル量3mLを除いて、3日経過後も透過は見られなかった。上部HCl溶液の組成を分析したところ、ゲル量に関係なく、Naが6.5mM, Mnが0.7mM程度観測された。界面付近のみでの溶解、イオン交換反応が示唆された。注射筒上部の溶液を1mM CsCl 10mLに交換し、Cs核酸防止性能を評価した。ゲル量が多い程、Cs濃度が減少し、Na濃度が上昇した事から、吸着剤とのイオン交換反応で、Csを低減していることが判った。14日後と27日後の残存率を比較した場合、Csの除去が進んでいなかった。ゲル内のNaBirによる吸着より、Csは、希釈効果により濃度低下していたことが示唆された。NaBirよりCs選択性の高いプルシアンブルーナノ粒子についての検討も行い、寒天相を工夫することで、Cs拡散防止剤として使用できる見込みが得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、3年計画の2年目である。1年目に選定したゲル化材料である「寒天」のゲル状成形体の強度および遮水性を中心に2年目の検討を行った。トラブルもなく、十分な強度と遮水性が見込まれ、有害イオンの遮蔽性についても、問題なかった。そのため、計画は概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は、3年計画の3年目となる。当初の計画とおり、実験は順調に進行しており、補完的な実験を行い、学会発表など成果の取りまとめを3年目には実施する。
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Causes of Carryover |
出張して分析を行う機会が少なかったため、旅費と依頼分析に要する費用が予定より抑えられた。また、英文校正費用や論文・特許情報検索・複写費も、論文作成が遅れたため、発生しなかった。物品品について、依頼分析を行わず、自ら分析したため、当初の予定額近くまで使用した。 作成が遅れている論文作成に関する費用については、今年度支出する予定。また、当初の研究計画では予定していなかた分析装置使用に関する経費負担に充当する。
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