2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of highly accurate generalized beam theory without any assumption of the displacement field
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18K04318
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
齊木 功 東北大学, 工学研究科, 准教授 (40292247)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 梁理論 / 断面変形 / Poisson効果 / 代表体積要素 / せん断変形 |
Outline of Annual Research Achievements |
梁理論は,変位場を仮定することで細長い棒の曲げ変形を精度よく簡便に予測する理論である.しかしながら,橋梁に用いられる部材は細長比が比較的小さいために平面保持に基づく変位場の仮定は厳密には成り立たず,その乖離の程度により精度も低下する.これまで,せん断変形に起因した断面変形に焦点を当てた研究を行い,ある程度の成果が得られたので,本年度はPoisson効果による軸直角面の断面変形について以下の検討を行った. Poisson比が正の場合は,梁を軸方向に引っ張ると,軸直角方向の直ひずみは負となり,断面は収縮する.同様に,梁を下に凸となるような曲げ変形を与えると,曲げ圧縮される断面上部は軸直角方向に膨張し,曲げ引張となる断面下部は収縮する.申請者が開発した梁の代表体積要素に曲げ変形・軸変形を周期境界条件のもとで与える方法を用いて,それぞれの変形の際の断面内任意点の軸直角面内の変位成分を抽出することができた.それらの変位成分からなる断面変形モードとその大きさを表す一般化変位を導入することで,Poisson効果を考慮可能な梁理論を構築し,昨年度までに構築したせん断変形による断面変形を考慮可能な梁理論と統合し,6元連立常微分方程式として定式化することができた. 構築した一般化梁理論を用いて,コンクリート充填鋼管部材のような複合断面などを例とした解析を行った.具体的にはコンクリートに相当するコア材のPoisson比をほぼ非圧縮となる0.49とし,鋼管に相当するスキン材のPoisson比をゼロとし,代表体積要素に軸変形を与えて軸剛性を評価したところ,Young率の面積比で評価される軸剛性よりも7%程度大きくなることがわかった.この結果は連続体ソリッド要素による参照解と比較してその精度を確認した.以上から,本解析によれば,鋼管による充填コンクリートに対する拘束効果を再現することが可能である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べた通り,梁理論の変位場を逸脱する断面変形のうち,せん断変形に加えてPoisson変形に関する問題はほぼ解決できたと考えている.また,Poisson効果に起因する断面変形をそれに関連する断面力と独立な自由度として定式化することで理論の解析精度を向上することができた.予定していたせん断変形・曲げ変形・軸変形・ねじり変形のうち,未着手な問題はねじり変形だけであるので,最終年度はねじり変形にともなう断面変形とそりねじりについて取り組むことで予定していた成果を達成できると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
目的としていた断面変形のうち未着手のねじり変形とそれに起因する断面変形について検討する.代表的な薄肉断面に対してはそり関数がすでに提案され用いられている.本手法によれば,任意の複合断面に対して,代表体積要素のねじり変形からそり関数に相当する断面変形モードを抽出することができると考えている.この断面変形を拘束することにより生じる付加的なねじりモーメントがそりねじりモーメントである.このため,ねじりモーメントと,それに起因する断面変形は独立に考慮すべきである.したがって,これまで取り扱ってきたせん断変形,軸変形,曲げ変形と同様に,ねじりによる断面変形の一般化変位を導入した一般化梁理論の構築を行う.構築した一般化梁理論の解は,これまで同様に連続体ソリッドモデルによる数値解と比較し,その妥当性・精度を検討する.
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