2018 Fiscal Year Research-status Report
実時間ハイブリッド動的載荷実験による機能分散型免制震橋の性能検証
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18K04319
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
党 紀 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (60623535)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 危機耐性 / 破壊誘導 / 機能分散 / 直列ダンパー / 実時間ハイブリッド実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
東北地方太平洋沖地震や熊本地震などの大災害時、ゴム支承が破壊されることを念頭に、従来ではゴム支承に集中していた機能を複数のディバイスに分散する機能分散型免制震が提案された。従来の耐震構造と比較した地震応答解析を行い,地震応答が抑えられ,破壊がSPDに集中することを確認した。しかし、提案構造形式は、非常に複雑な非線形に依存しているため、想定通りに機能するかどうかについて、解析だけではなく、実時間ハイブリッド実験による検証が必要である。以前から、構造物の耐力を階級化して、塑性化を修復しやすい場所に誘導する議論がなされているが、耐力の限界や塑性化の始まりから破壊までの挙動が複雑で、実験と解析が難しいことから、設計では破壊を防ぐことにとどまり、破壊を設計するまでに至っていない。 本研究では実時間ハイブリッドを行い、直列したシリンダーダンパーとSPDがそれぞれ小さい揺れと大きい揺れを吸収する機能分散手法を検証する。本年度では、実時間ハイブリッド実験の制御システムを構築することを目的としている。そのために、今までの予備載荷実験の載荷装置を利用して、構造振動の応答解析と実験フィードバックを用いる応答の修正するアルゴリズムを開発して、ハイブリッド実験システムを構築することを目標としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は最初の年度であり、主な目標は構造システムの構築であり、概ね順調にシステム構築を完了している。ハイブリッド実験は計算機による数値計算と動的載荷装置による載荷試験を組み合わせ,構造物全体の地震応答を調べる手法である。 本研究の制御システムには,主な演算をホスト・コンピュータで行うシステムを最初に構築した。Host PC演算では,載荷目標変位をHost PCで数値解析し,デジタル信号とアナログ信号の高速変換および制御が可能なDSPに目標変位を送信して載荷装置を制御させる.しかしHost PC演算での問題は,実時間載荷においても解析処理などで約7倍以上の載荷遅れが生じることである.この問題を解決するために演算アルゴリズムをDSPに書き込み,Host PCは操作システムのみの機能を保持するように実験方法を改良した。 DSP演算の場合,処理するデータ量に制限があるが,DSP内で数値解析も行うので,実時間での解析処理などによる遅れはほどんとなくなった.
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Strategy for Future Research Activity |
DSP演算による実時間ハイブリッド実験システムは,入力波形とほぼ等しい時間で処理したことから,実際の地震動応答を再現性良くシミュレーションできた.しかし,油圧載荷システムの時間遅れや実時間載荷での発振など,この信頼性検討手法にはまだ改良の余地はある.将来の展望として,載荷システムの同定とIIRやFIRなどのデジタルフィルターを用いた載荷システムの補正を検討する.なお、次年度から様々な地震動を用いた入力し、本格的な実験的研究を行う予定である。
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Research Products
(1 results)