2018 Fiscal Year Research-status Report
焼成ホッキ貝殻により膨張を付与したセメント硬化体の内部組織構造と耐凍害性の定式化
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18K04336
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Research Institution | Tomakomai National College of Technology |
Principal Investigator |
渡辺 暁央 苫小牧工業高等専門学校, 創造工学科, 准教授 (00422650)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 崇 苫小牧工業高等専門学校, 創造工学科, 准教授 (50290672)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 焼成ホッキ貝殻 / 膨張 / 拘束 / 温度応力 / 反射電子像の画像解析 / 毛細管空隙 |
Outline of Annual Research Achievements |
焼成ホッキ貝殻粉末を混入したセメントモルタルを拘束型枠に打設して,拘束下で密封養生を実施した.材齢7日で拘束供試体から直径20mmのコア試料を採取して,圧縮強度試験および反射電子像の画像解析による内部組織評価を実施した.焼成ホッキ貝殻の混入量を増大させると拘束条件下においても,膨張力により内部組織に粗大な毛細管空隙が多くなり,圧縮強度が減少することが判明した.なお,膨張能力を評価するため,ASTM C 1698-09 に準じたコルゲートチューブによる長さ変化試験を行った. 温度コントロール可能な空気槽を有した疲労試験機を使用して,焼成ホッキ貝殻粉末混入モルタルの温度応力試験を実施した.寸法が40×40×240mmのモルタル供試体を作製し,材齢7日まで標準養生を行った.疲労試験機に両端固定でセットした.+20℃から-30℃まで一定速度で温度を低下させた.その結果,プレーンモルタルは,温度低下に伴う直線的な引張応力の増加現象から,-10℃付近で引張応力の低下が確認された.これはモルタル内部の毛管水の凍結による膨張を捉えている可能性がある.一方,焼成ホッキ貝殻粉末混入モルタルは,温度応力による引張応力の増大のみであり,引張応力の低下を確認することができなかった.この理由については,膨張作用により毛細管空隙構造が粗くなったため,毛管水の凍結圧力が緩和された可能性があるが,詳細は今後の課題である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
拘束状態における膨張性モルタルの内部組織評価が順調に進行している.一方,温度応力試験に関しては試験方法の改善が必要であり,若干研究遅延がある.全体としては概ね順調に進行している.
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Strategy for Future Research Activity |
温度応力試験では,モルタルの乾燥を防止するため,水を含んだ養生シートで供試体を保護したが,この養生シートの凍結により測定データが不安定になることが判明した.今後不凍液を含浸させた養生シートを使用するなど,試験方法の改善を行う予定である.
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Causes of Carryover |
当初予定していた多機能寒冷地疲労試験機用の治具の作製が別予算で可能となったため,次年度使用額が発生した.この試験装置の治具の改良が必要となり,この費用に当てる予定である.
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