2019 Fiscal Year Research-status Report

コンクリート充填構造のポストピーク域の挙動を考慮できる高精度簡易解析法と耐震照査

Research Project

Project/Area Number	18K04337
Research Institution	National Institute of Technology, Toyota College
Principal Investigator	川西直樹豊田工業高等専門学校, 環境都市工学科, 教授 (60300589)
Project Period (FY)	2018-04-01 – 2022-03-31
Keywords	コンクリート充填構造 / ポストピーク / セグメントモデル / 耐震設計 / 連続高架橋
Outline of Annual Research Achievements	鋼構造の部材内にコンクリートを充填した構造（CFT構造）は，コンクリートを充填していない無充填の鋼構造に比べ，繰り返し荷重のピーク点以降においても安定したエネルギー吸収能を持ち高い耐震性能を有することは周知の事実であるものの，現行の耐震照査法はこの特長が反映されていない．これは，最大荷重以降のCFT構造の力学挙動がきわめて複雑なため，精度よい簡易モデルが開発されていないことに起因している．このため，CFT構造の耐震設計を高度化するためには最大荷重以降の領域での履歴挙動を正確に予測するための簡易解析ツールが必要となる．このため，本研究では，CFT構造のピーク以降の履歴挙動の追跡が可能で3方向地震動にも対応可能な簡易モデルである3次元セグメントモデルの提案を行い，その精度検証を行う．さらに，単純なＴ型のCFT橋脚による連続高架橋以外のCFT構造に対しても提案したセグメントモデルを適用し，その精度検証を行うことで，セグメントモデルの汎用性や有用性について確認することを目的としている． 2019年度については，Ｔ型のCFT橋脚についてのこれまでの研究成果を整理し，ASCEのStructural Eng.に論文発表した．さらに，逆Ｌ型CFT橋脚を有する連続高架橋へのセグメントモデルの適用性について既存の加振実験と比較することで精度検証し，通常のＴ型CFT橋脚による連続高架橋との振動特性の違いについて明らかにした．これらの成果を第22回橋梁等の耐震設計シンポジウムで論文及び講演発表した．
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned. Reason 提案したセグメントモデルにより通常のＴ型ＣＦＴ橋脚のみならず荷重条件の異なる逆Ｌ型のＣＦＴ橋脚に対して適用したところ，ある程度の精度で加振実験を再現できうることが判明した．これにより，さらに他のＣＦＴ構造に対しても提案した簡易モデルを適用することに目途がたったため．
Strategy for Future Research Activity	逆Ｌ型の連続高架橋加振実験結果との精度検証についてさらに細かく精査し，その成果を整理し論文発表する予定である．また，提案した簡易モデル（３次元セグメントモデル）を新たなCFT構造（多柱式CFT橋脚など）にも適用し，その精度を検証することで，任意のCFT構造に対する３次元セグメントモデルの汎用性や有用性について明らかにしていきたいと考えている．
Causes of Carryover	主に既往の実験結果を利用した提案モデルの解析精度の検証作業を行っており，実験についやすための費用が予定よりもやや少なく収まっていたためである．今年度は新たなCFT構造（多柱式CFT構造）に対する実験に着手する予定であり，これに付随した研究費が必要となる予定であり，所要額のとおりの研究費用が必要となる．