2018 Fiscal Year Research-status Report
統計的推定誤差と空間的ばらつきを考慮したセメント改良地盤の強度評価
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18K04351
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
並河 努 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (50455151)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 統計的不確実性 / ベイズ推論 / MCMC法 / セメント改良土 / 強度 / 空間的ばらつき |
Outline of Annual Research Achievements |
深層混合処理工法により構築されるセメント改良柱の強度評価における統計的不確実性を定量的に評価できる手法を開発した。本手法では、統計パラメータである強度の平均、分散、自己相関距離をコアボーリングより採取されるサンプルの強度(コア強度)よりベイズ推論の手法を用いて推定する。ベイズ推論において平均、分散、自己相関距離は事前確率分布と尤度関数より定められる同時確率密度関数により表現されるが、同時確率密度関数より統計量を直接評価することが難しい。そこで、マルコフ連鎖モンテカルロ法(MCMC法)を用いて、周辺事後分布よりそれぞれのパラメータをサンプリングする手法を用いて、各パラメータの統計量を評価する手法を構築した。MCMC法では、平均、分散の2つのパラメータにおいて事前分布に共役分布を設定することにより、これらのパラメータを周辺事後分布から直接サンプリング(ギブズサンプラー)できるようにした。自己相関距離は周辺事後分布からメトロポリスヘイスティング法(MH法)によりサンプルした。ギブズサンプラーとMH法を併用することによりサンプリング効率のよりMCMC法を構築した。本手法のプログラムはRにより作成した。 構築したベイズ推論法を用いて、実プロジェクトで計測されたコア強度よりセメント改良柱の強度の平均、分散、自己相関距離を推定した。40個程度のサンプル数を用いた解析において、推定された各パラメータは大きなばらつきを示した。これは、自己相関を有するデータの場合、実質的なデータ数が少なくなり、それに伴い推定される統計パラメータのばらつきが大きくなることが原因である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画として、統計的不確実性を評価するためのベイズ推論法の構築が平成30年度の目標であったが、おおむね計画目標を達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、ベイズ推論により評価された統計パラメータ(強度の平均、分散、自己相関距離)に対応した乱数場を用いるFEM解析手法の構築を行う。相関係数行列を用いた手法により自己相関特性を有する乱数場を生成する。生成した乱数場を強度の空間分布とする実大セメント改良柱のモデルを多数作成し、そのモデルを用いたFEM解析を実施する。従来の乱数場を用いたFEM解析では、強度の統計パラメータは固定されるが、本手法ではモデル毎に統計パラメータが変化する。計算される実大改良柱強度において、従来手法と提案手法を比較することにより、統計的不確実性が実大改良柱強度の評価に与える影響を調べる。
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Causes of Carryover |
2018年度中に研究成果を国内もしくは国際会議で発表する計画であったが、研究内容にふさわしい会議がなく、計画していた旅費が未使用となった。未使用となった額は2019年度の学会発表等の旅費等に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)