2018 Fiscal Year Research-status Report
Proposal of a overflow river levee based on the internal erosion and surface erosion mechanism
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18K04353
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
杉井 俊夫 中部大学, 工学部, 教授 (90196709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
余川 弘至 中部大学, 工学部, 講師 (20736087)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 局所浸透流速 / 平均動水勾配 / 堤体敷幅 / 透水係数 / 多粒子限界流速 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、次の (1)「河川水流速と土中の過剰間隙水圧分布の関係」、(2)「内部浸食・表面侵食が起こりにくい土質条件の究明」、(3)「流速を用いた「粒子有効力」の解析」、(4)「未改修堤防の耐越流対策」の4課題について研究を遂行している。 初年度である2018年度は、(3)に関係する堤体基礎が透水層である場合にも、研究代表者が提案してきた多粒子限界流速が裏のり尻先直下での局所浸透流速の鉛直成分と一致し適用性を得たこと、および粒子有効力の提案を行った(河川技術論文集)。この結果を受けて、実務においても容易に局所浸透流速の鉛直成分を推定できる方法を浸透流解析により検討を行った。その結果、不透水堤体の基礎地盤が単層および複層透水性の場合について、常に最も大きくなる裏のり尻先直下の局所動水勾配の鉛直成分を水位差と堤防敷幅比、水平・鉛直両方向の等価透水係数比との組み合わせにより算出される無次元量をもって推定できる方法を見出し、平均動水勾配の2倍の鉛直局所動水勾配となることを明らかにしている。また、その導出過程において、メッシュサイズの依存性を解消するために、流速ベクトルの決定方法についても定常流れにおけるフローネットの形状が対象となる堤体基礎の形状により、決定されることを利用した方法を提案、他の研究者らの実験結果の検証から、その適用性を得ている(河川堤防技術シンポジウム論文集)。さらに、(2)の課題である内部浸食のメカニズムが大きく関係する間隙径構造を評価する方法について保水性試験を実施し、同じ間隙比であっても間隙構造(間隙径分布)が異なること、同時に締固め時の含水比の影響を力学的に説明した(地盤工学会誌)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
浸食現象発生のトリガーの外力となる最大鉛直局所流速(最大鉛直局所動水勾配)と抵抗力となる粒子径及び間隙径分布の評価についての検討が初年時に大きく進み、順調に進んでいるものと判断する。その結果、3件の査読付き論文を発表することができた。その中で、定常計算の重要性を示すことができ、実務の現場にても簡単な情報で適用しやすい形を示すまでに至った点は大きい。さらには、堤体基礎の支持力不足の新たな課題を発見することもできた。この結果から、概ね予定通りの進捗状況と判断する。 一方、地盤表面を流れる流速の速さが、地盤内の流速との差によって深さ方向の地盤内の過剰間隙水圧分布がどのように変化するのか、計上した試験土槽を用いての模型実験は、試験土槽のセンサーの配置や供試体高さ、勾配などの点でさらに再考が必要となり試験装置の考案にとどまったほか、さらに、水理学と土質力学の境界である河川水および土中水の連成解析の実施ができなかった点が(2)の概ね順調に進展していると判断にいたった。 2018年度の結果から、2019年度では第1の課題である「河川水流速と土中の過剰間隙水圧分布の関係」を中心に検討に力を注ぐため、水理学の専門である本学武田教授からの助言を受けて河床流における水圧の上昇を含めて連動した堤体内の土中の浸透解析をも進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、4つの課題である、第1課題の「河川水流速と土中の過剰間隙水圧分布の関係」、第2課題「内部浸食・表面侵食が起こりにくい土質条件の究明」、第3課題「流速を用いた「粒子有効力」の解析」、第4課題「未改修堤防の耐越流対策」について解決していく必要がある。第1の課題については、模型実験での検証を実施するとともに数値解析コードを作成して、シミュレーションによる検証を行う。そのため、模型装置の作成、数値解析コードの開発を進める。第2の課題については間隙径分布の計測と簡易的な推定法の開発である。すでに現在、豊浦砂については粒度分布及び間隙率と締固め度を用いることで推定の可能性を得ており、さらなる土試料について適用できるかの検証を行うため、間隙径分布の計測を継続する。第3課題では、多粒子限界流速を用いた粒子有効力消散の過程について他の研究者や実データを用いて検証する。第4課題についても初年度の結果である平均動水勾配と鉛直局所動水勾配の関係をもとに、越流以前に破壊する堤防との区別を庄内川や他の河川について区別し、越流現象を検討する必要性のある堤防の土質特性を抽出することとする。 実際に発生した堤防の事例を照査するとともに、本研究で得られた結果を適用した場合にどの程度、予測可能であるか結果の適用と検証を進めていく。いずれも、得られた研究成果は口頭発表を含めて査読付き論文に投稿していく予定である。
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Causes of Carryover |
共同研究者の余川によってSPH(粒子法)においても検討を行う予定であったが、今回、実験の方が実施できず、解析を遅らせたため次年度に使用額を変更した。
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Research Products
(9 results)