2018 Fiscal Year Research-status Report
津波による橋台背面盛土の流出機構の解明と効果的な流出対策の提案
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18K04364
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中村 友昭 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (90569328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水谷 法美 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (10209760)
趙 容桓 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (00761082)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 津波 / 橋台 / 盛土 / 侵食 / 洗掘 / 耐津波安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2011年東北地方太平洋沖地震において,沿岸部の橋梁に桁の流出などの津波による被害が発生した.「東日本大震災による橋梁等の被害分析小委員会」の最終報告書によれば,点検が実施された直轄国道の1,572橋に限っても,落橋が12橋,橋台周辺の洗掘が22橋,橋脚周辺の洗掘が24橋など,津波の影響を受けて141橋が被災したとされている.このような橋梁の被災は復旧活動の障害となることから,災害時においても橋梁の機能の保持が求められている.そこで,2004年スマトラ島沖地震津波を契機として,これまでに主に橋桁への作用津波力の観点から検討がなされてきた.しかし,「東日本大震災による橋梁等被害分析委員会」および「橋梁の対津波設計に関する研究小委員会」の最終報告書において,橋台背面盛土の流出対策の重要性が言われているものの,盛土の流出現象に着目した研究はほとんど行われていないことから,橋台背面の盛土が津波により流出に到る過程とその機構に対する検討は十分とは言えない. そこで,橋台背面盛土の津波対策の確立に向けて,本研究では,水理実験による橋台背面の盛土が流出に到る過程の解明,3次元流体・構造・地形変化・地盤連成数値計算モデルFS3Mの水理実験への適用と同モデルの再現性の検証,水理実験および数値計算モデルFS3Mの両面からの橋台背面盛土の流出機構の解明,上記の成果を統合した流出対策の効果の総合評価を柱とした研究を実施する.研究期間1年目の平成30年度は,まずアクリル板,水中ポンプ等を用いて簡易的な長さ6.0 mの水平開水路を製作し,その水路を用いて橋台の背後に盛土を設置した状況と簡単のために不透過な盛土単体を設置した状況を対象とした水理実験を行い,津波の作用により侵食・洗掘に到る過程を検討した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では,最初から橋台背面盛土を対象とした水理実験を行う予定であったが,まずは簡単のために不透過な盛土のみを設置した状況を対象とした水理実験を実施した.その結果,盛土裏法尻に形成される洗掘の特性と洗掘対策としての蛇籠の有効性を明らかにした.その上で,当初の研究計画通り,橋台の背後に盛土を設置した状況を対象とした水理実験を実施した.
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間2年目の平成31年度は,橋台の背後に盛土を設置した状況を対象とした水理実験を追加で実施し,盛土が流出に到る過程についてより詳細な検討を行う計画である.それと同時に,当初の研究計画通り,数値計算モデルFS3Mを研究期間1年目あるいは2年目に実施した水理実験に適用し,同モデルの再現性を水位変動や地形変化などの観点から検証する計画である.
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Causes of Carryover |
安価な材料を用いるなど,当初の研究計画と比較して水平開水路の整備費用を圧縮できたことから,次年度の使用額が生じた.追加実験の実施費用として有効活用する計画である.
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Research Products
(1 results)