2019 Fiscal Year Research-status Report
感潮域における微細土砂堆積機構の解明と災害安全度の向上に向けた新たな管理への応用
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18K04371
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Research Institution | Maebashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
平川 隆一 前橋工科大学, 工学部, 准教授 (70380748)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大本 照憲 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 教授 (30150494)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 塩水遡上 / 二次流 / 塩水くさび |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,感潮河道において河岸底質の浮遊・堆積機構を明らかにすることである.研究期間内に,具体的に,①超音波流速計と多項目水質計を用いた横断方向への物理環境モニタリング,および②標尺や既存の測量データ資料を用いた微細土砂の堆積分布および堆積速度を把握し,③河床変動予測モデルに微細土砂と潮汐による往復流,塩分と土砂濃度に起因する二重拡散対流の組み込んだ河床変動予測モデル開発を行う. 観測場所は唐人川下流の複断面河道で,川幅が約50m,低水路幅が約20mである.河床はシルトおよび粘土から成る微細土砂で覆われている.流れの計測にはADCP,塩分濃度には多項目水質計を横断方向に2台用い,計測日には下げ潮と上げ潮の潮位が対称に近い波形を選んだ. 塩分濃度の横断方向変化は,上げ潮時には,河道中央部と河岸部で濃度の最大時に明確な時間差はほとんど見られなかった.下げ潮時にも,河道中央部と河岸部で明確な最大濃度の時間差は見られなかった.表面流況の観測では,下げ潮時にトレーサーは河道中央部に集まり,上げ潮時にトレーサーは河岸部に寄ることが観測された.この表面流況から水平対流の発生が示唆され,下げ潮時には河道中央部で上昇流,河岸部で下降流,上げ潮時には河道中央部で下降流,河岸部で上昇流となる二次流セルが生じ,この様な二次流が土砂濃度および主流速の空間分布に影響し,側岸部の土砂堆積を促進させたことが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現地調査を行い,河川感潮域における水温差や塩分濃度差に伴う密度差に起因する流れの解明に充てた結果,年度末の観測場所への移動を取りやめたことが上述の評価の理由である.現地調査は,これまでの研究の成果から次年度で改善すべき点が明らかとなった.これについては,次年度の研究に反映する.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では,引き続きの現地観測についてのデータ整理を行い,研究目的が達成できるようにする.また,令和元年度に未実施だった河床変動の予測モデルの開発もそれらの結果をもとに手掛ける予定である.
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Causes of Carryover |
旅費の手続き間違いにより,11,040円の次年度使用額が生じた.これは次年度の旅費として使用予定である.
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Research Products
(5 results)