2019 Fiscal Year Research-status Report
心理学と水工学の融合による人の心に届く防災情報・ツールの開発
Project/Area Number |
18K04372
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
呉 修一 富山県立大学, 工学部, 准教授 (00646995)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 洪水氾濫 / 新しいハザードマップ / リスクランク評価 / 堤防決壊 / 心理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、心理学と水工学を融合することで、わかりやすく有用な防災情報の新しい名称・ツールを開発することである。2年目は、富山市を流れる神通川および常願寺川流域を対象に洪水氾濫計算を実施し、洪水氾濫リスク評価の新しい分類指標を提案した。また、富山全河川を対象として、堤防決壊リスクのわかりやすい評価手法を提案した。以下にその概要を示す。 住民にとってわかりやすいハザードマップを新しく開発するため、富山市を流れる神通川、常願寺川を対象に洪水氾濫計算を実施した。外力としては、計画規模、想定最大規模、可能最大規模を用いた。洪水氾濫計算結果の見せ方として、浸水深、流速に基づくリスクランクを新しく提案し、これに基づくハザードマップを提案することが出来た。本リスクランクの作成では、令和元年の台風19号により長野県千曲川で発生した洪水氾濫による家屋被害の調査結果が反映された最新かつ分かりやすいものとなっている。 次に、富山県を流れる1級、2級河川の全てを対象として、越水、侵食、浸透ポテンシャルの評価を行うことが出来た。これにより、今後はどこの堤防が破堤の危機があるのか、この点に関しても住民にわかりやすい情報を提案していける手法が確立された。 本研究で提案した新しいタイプのハザード情報では、浸水域のリスクランクを水平避難が必要な赤ゾーンと、浸水はするが家屋流失までの危険はない青ゾーンに分けたものである。このようなハザードの明示方法は、地域住民にも理解しやすいというアンケート結果も出ており、赤ゾーンの住民の注意を直接的に促すとともに、水害時の市町村や水防団の対応の労力を、地域をしぼることで大幅に減らすことを考えている。この情報に加えて、堤防の決壊危険度をも明示することができれば、対象とする地域を大幅に限定できる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に実施したアンケート調査により明らかとなった課題を解決するため、昨年度は洪水リスクのわかりやすい評価手法の開発に取り組むことが出来た。 これで洪水ハザードのわかりやすい評価手法を確立することが出来たので、今年度は洪水ハザードをいかに相手に伝えるかに取り組むことが出来る。 伝達手法として、動画、アニメーションに加えて、Virtual Reality (VR)を用いた洪水氾濫の可視化も既に完成しており、極めて順調に進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、現在までに作成したハザードマップのコンテンツを用いて、どの見せ方が人の心に届くのかを、心理学の観点から取り組んでいく予定である。 紙媒体、動画アニメーション、VRなど、どのような見せ方が人の危機感に直接訴えられるのかを、定量的に評価していく予定である。 そのためにも、動画コンテンツなどを体験してもらうヒアリング調査を執り行う予定である。
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Causes of Carryover |
コロナウィルスの蔓延により、成果発表旅費(長野・岐阜出張、海外発表参加費申し込み(ASCE))が、執行不可となったためである。 次年度に、成果発表旅費で使用する予定である。
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