2020 Fiscal Year Research-status Report
多様な流木堆積過程を検討可能な流木対策工設計支援システムの構築
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18K04375
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Research Institution | Anan National College of Technology |
Principal Investigator |
長田 健吾 阿南工業高等専門学校, 創造技術工学科, 准教授 (30439559)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 義彦 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (70178995)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 水工水理学 / 河川工学 / 流木災害 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度までの研究で,3次元流れを効率的に解析できるハイブリット流体モデルと3次元個別要素法(流木追跡)を組み合わせた3次元流木解析法を開発した.直線水路を用いた流木堆積実験での精度検証を行い,流木の沈み込みを伴う堆積過程と流木堆積により生じる水位上昇量を再現できることを示した. 令和2年度は,本3次元流木解析モデルの実用性の向上のために,一般河道に設置された流木対策施設に対する適用性の検証を行った.蛇行水路の外岸部に流木捕捉施設(下流部に流木止めを設置)を有する水路模型を作成し,流木の流下・堆積に関する基礎実験を実施した.本実験を進める中で流体の渦運動が流木挙動に影響を与えていることが明らかとなった.これまでに構築した流木解析モデルでは,流体解析に渦運動を十分に再現できない1次精度風上差分を移流項に適用していたことから,流体解析の精度向上が必要となった.そこで流体解析について3次精度風上差分への精度向上を図った新たなモデルを構築し,そのモデルにさらに乱流モデルを組み合わせた解析モデルも構築した.従来の1次精度風上差分のモデルを含む上記3パターンの解析法を実験に適用し検証を行うことで,それぞれの特徴,再現能力や問題点について検討を行った.本検討の結果,流体解析に3次精度風上差分を採用した流木解析法が,流木対策施設を有する一般河道における流木の流下・堆積過程および流木堆積による水位上昇について,高い再現能力を持つことが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
流木解析法の開発に関して,当初開発予定としていたモデル(流体に平面2次元解析,流木に3次元個別要素法)よりはるかに精度の高いものが構築できたと考えている.計画当初,流体解析に平面2次元解析を選定した理由は,実河川への適用性・実用性を考えたからであるが,平面2次元―3次元ハイブリッド流体モデルを新たに構築し適用したことで,3次元流体情報について計算負荷を抑えて効率的に得ることができるようになり,解析精度の向上に繋がった.今年度,貯木場を有する一般河道形状での実験とそのデータを用いた解析法の検証において,解析法の新たな課題を見出し,精度向上を図ることでより実用性の高い3次元流木解析法を構築できたと考えている.感染症の影響があり,曲げ材料を用いた流木について解析法の検証が十分行えていないこと,また十分な論文の執筆できなかったことから,研究期間の延長を申請した.
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Strategy for Future Research Activity |
4年目は,直線水路で実施した曲げ材料を用いた実験への適用を進め,解析法の検証を進める.曲げ材料の堆積状況,堆積割合,および水位上昇量などを解析法により再現可能であるか,検討を進める. これまでの研究で,流木解析法として平面2次元-2次元個別要素法モデル(2D-2D流木モデル),平面2次元-3次元個別要素法モデル(2D-3D流木モデル:本研究において当初提案モデル),ハイブリッド流体解析-3次元個別要素法モデル(Hybrid flow-3D流木モデル)を構築してきた.これら解析法の有効な点,また適用性の課題などについて,本研究を通じて整理することで明らかにする予定である.平面2次元流体解析-3次元個別要素法モデルについては,実河川への適用から,流木追跡モデルとしての有効性・実用性はある程度示されてきた.本解析プログラムの解説書などを作成し,流木対策工の設計支援システムとして,広く利用していただけるように整備する予定である.
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Causes of Carryover |
感染症の影響で全体的な作業に遅れが生じ,繰り越しが発生しました.研究期間を延長し,解析法の検証と論文執筆を進め,研究計画を遂行する予定です.
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Research Products
(2 results)