2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K04381
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
平野 勝也 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (00271883)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 裕一 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (80312635)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 生活景 / 景観認識 / 景観まちづくり |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,認知科学的な基盤と、認知科学ではほとんど取り扱わない複雑な現象である景観現象とを、より良いまちづくりのために融合させ工学的な成果を得ようとするいわば学際研究である。そのため、実践的な景観まちづくりを展開しつつ、街並み景観認識研究の蓄積が豊富な研究代表者(平野)が全体を統括し,その一方で、認知科学分野の中でも、応用的な研究実績を積み上げて来ている気鋭の研究分担者(和田)が認知科学研究の蓄積に基づき、無意識的な景観認知特性を解明するための検証方法、実験計画、解析方法などを分担する形で研究を開始した. まず,初年度は慣れ親しんだ景観の記憶特性について取り組んだ.具体的には,Nickersonらの成果(Raymond Nickersonら、”Long-term memory for a common object” Cognitive Psychology July 1979)を参照しつつ、慣れ親しんだ街並み(具体的には被験者の自宅とその周辺)について、描画に基づく再生試験を行い、どのようなものなら再生可能であるのかについて解明を進めた. 描画による再生試験は様々なバイアスが想定される扱いにくい実験である。まず、描画能力の個人差が大きなバイアスを産むことが想定されるので、被験者には「自宅」という特別なものと想定される対象も再生してもらい、それとの比較も行った.その結果,自宅とその周辺の記憶の再生には大きな差があり,見ているだけの「周辺」と,実際に使っている「自宅」との差が示唆された.さらに「干渉」現象から生活景を見るべく試論的な展開を図った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
人間の記憶の複雑さや,被験者個人の個別事情(今回は「自宅」と言う被験者ごとに異なる刺激を用いている)のために.結果は,総論的な結論に留まり,仔細な認知の癖に踏む込むことができなかった.普遍的な観点による「慣れ親しんだ景観への反応」を解明する方法論を探っていく必要があり,H30は試験的に「干渉」について展開を図った.しかしながら,そもそもあまり強い干渉が観察されず,総論的な成果に留まっている.
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Strategy for Future Research Activity |
見慣れた風景の場合「干渉」が小さいのではないかと言う仮説に基づき,研究を展開したが,それを一層深めていく.
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