2018 Fiscal Year Research-status Report
自転車と他者の交通コミュニケーション方法の調和型最適設計と交通規則マナーの制度化
Project/Area Number |
18K04383
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
金 利昭 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 教授 (40205050)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | bicycle / traffic rule / traffic communication |
Outline of Annual Research Achievements |
新しい自転車通行帯として急速に整備されている自転車レーンや車道混在を安全に運用するためには、当事者間(人-自転車-車)の進路変更・追い越し・待避(譲り)を安全に実行するための優先順位遵守・後方確認・合図が必要不可欠である。しかしながら道路交通法で規定する優先順位は不徹底で、自転車の方向指示・手信号は現状では全く実行されていない。 本研究の目的は、交通当事者間の優先順位と後方確認・合図に関わる個々の場面での実行可能な交通コミュニケーション方法とマナーを新しく設計し、交通規則・マナーとして体系化することである。 平成30年度は、自転車と他者が関わる進路変更・追い越しにおいて道路交通法が規定する後方確認・合図の実行可能性と当事者間の交通コミュニケーションギャップを意識調査により明確にし、交通コミュニケーション方法と道路交通法の問題点・課題を構造化した。得られた知見は下記の通りである。(1)自転車の進路変更時には後方ドライバーの76%のドライバーが後方確認や合図がないことによる危険不快経験がある一方、自転車のコミュニケーションによりドライバーの安全感が高まることから、後方確認や合図の必要性は高い。(2)自転車利用者はドライバーに比べ後方確認のみでよいと考えている割合が高く、コミュニケーションに関して両者に意識の差異がある。(3)後方確認については女性と高年層、手信号については女性と男性高年層及び普通自転車利用者が実行したくないと回答した割合が高く、属性によって実行性に差がある。(4)自転車の追い越し・追い越され時には、追い越される自転車の56%が危険・不快と感じた経験があり、近距離・速いスピード・コミュニケーションがない追い越しが問題である。さらにコミュニケーションにより追い越される自転車の安全感が高まることから、コミュニケーションの必要性は高いと判断できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通りに、自転車と他者が関わる進路変更・追い越しにおいて道路交通法が規定する後方確認・合図の実行可能性と当事者間の交通コミュニケーションギャップを意識調査により明確にし、交通コミュニケーション方法と道路交通法の問題点・課題を構造化することができた。一方で、当初の研究計画では、現行交通コミュニケーション方法の適用限界と挙動への影響を実験により明らかにする予定であったが、研究効率を考えて次年度に持ち越すこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
概ね順調に進展しているため、研究計画に変更はない。よって当初の研究計画通りに、現行交通コミュニケーション方法の適用限界と挙動への影響を明らかにするとともに、進路変更・追い越しにおける後方確認・合図を安全・スムーズに実行するための新しい交通コミュニケーション方法を考案し、現行の後方確認・合図と比較して実行可能性を検証する。これを踏まえて、交通当事者のコミュニケーションギャップを解消する交通優先順位と交通規則・マナーの最適解を求める。
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Causes of Carryover |
当初研究計画では現行交通コミュニケーション方法の適用限界と挙動への影響を明らかにする予定であったが、新しい交通コミュニケーション方法を考案するに留めて、以降の研究内容を次年度に併せて実施する方が研究効率が良いと判断したため、次年度使用額が発生した。この次年度使用額は、現行の後方確認・合図と新しい交通コミュニケーション方法との比較実験における人件費・謝金等に充当する予定である。
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