2019 Fiscal Year Research-status Report
自転車と他者の交通コミュニケーション方法の調和型最適設計と交通規則マナーの制度化
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18K04383
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
金 利昭 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 教授 (40205050)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | sidewalk / shared space / pedestrian / bicycle / traffic rule / traffic communication |
Outline of Annual Research Achievements |
第2年次(2019年度)は、歩道やシェアードスペースにおいて、自転車が歩行者を追い越す場面のコミュニケーション方法を確立するため、実験装置を構築し、実験を実行した。 第一段階では、自転車の実行可能なコミュニケーション方法として以下の5種類を設定した。(a)何もなし(追い越す前に存在を知らせるコミュニケーションをとらない)(b)ベル(自転車に取り付けてある警音器を鳴らす)(c)声掛け(「通ります」と声を掛ける)(d)追い越さない(広い道に出るまで追い越さず後ろをついていく)(e)鈴(自転車に取り付けたコミュニケーション用の鈴で存在を知らせる) 第二段階では、歩行者と自転車間の交通コミュニケーションギャップを解消する調和点を探索するため、動画実験装置の協力二人ゲーミングシミュレータを開発した。開発したシミュレータの有効性は、同一場面の実現場とシミュレータの結果を比較することにより検証している。 第三段階では、当事者間で実行可能な最適な交通コミュニケーション方法を見出すために、動画実験協力二人ゲーミングシミュレーションを実施した。被験者は46人である。この結果、①現行の社会規則として推奨されている「追い越さない」は、追い越される歩行者と追い越す自転車の双方にとって極めて低い評価となり、常態化している「何もしない」の評価も低くなったことから、歩行者や自転車は何らかのコミュニケーションがあることを前提に追い越すことを許容していることが判明した。②コミュニケーション方法として被験者全体に受容されるのは「鈴」であり、場合によって許容されるのは「声掛け」と「ベル」であった。③以上の結果から、歩行者と自転車間でのコミュニケーションの必要性は高く、コミュニケーション方法ごとのメリットとデメリットを踏まえれば、状況による「鈴」や「声掛け」「ベル」の適切な使い分けが望まれていることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通りに、交通当事者間の交通コミュニケーションギャップを解消する調和点を探索するための動画実験装置を用いた協力二人ゲーミングシミュレータを開発し、シェアードスペース(歩道、狭隘道路、サイクリングロード)において、自転車が歩行者を追い越す場面のコミュニケーション方法(追い越さない・何もしない・警報器・声掛け・鈴)を検討し、社会的受容性の高い最適案を見出した。一方で、当初の研究計画では、シェアードスペース以外の自転車レーン・一方通行自転車道や車道混在型通行帯での交通コミュニケーション方法についても検討する計画であったが、意識調査により新しいコミュニケーション方法の必要性がわかったところに止まった。この理由は、本研究のオリジナリティ部分である動画実験装置を用いた協力二人ゲーミングシミューションによる最適案検討の方法論構築を優先実行して成果を得たほうが社会的有用性が高いと判断したためである。
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Strategy for Future Research Activity |
優先順位をつけて研究を推進し、実行した研究部分に関しては良好な結果を得ているため、当初の研究計画に従ってシェアードスペースでの検討を優先実行することとし、今年度見出した歩行者自転車間のコミュニケーション方法の社会的受容性をアンケート調査によって評価し、提案に結び付けたいと考えている。またシェアードスペース以外の自転車レーン・一方通行自転車道や車道混在型通行帯での交通コミュニケーション方法については、一年次に得ている成果を踏まえて、当初の研究計画を若干変更して実行することを検討している。
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Causes of Carryover |
当初研究計画ではシェアードスペース以外の自転車レーン・一方通行自転車道や車道混在型通行帯での交通コミュニケーション方法についても検討する計画であったが、本研究のオリジナリティ部分である動画実験装置を用いた協力二人ゲーミングシミューションの開発と最適案検討を優先実行したため次年度使用額が発生した。この次年度使用額は、今年度見出した最適なコミュニケーション方法の社会的受容性をアンケート調査によって評価するため、不足が見込まれる調査費・人件費・謝金等に充当する予定である。
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