2018 Fiscal Year Research-status Report
ジョイントアクティビティの形成メカニズムに関する研究~友人関係と場所性に着目して
Project/Area Number |
18K04385
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
原田 昇 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (40181010)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
トロンコソ ジアンカルロス 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (60756336)
力石 真 広島大学, 国際協力研究科, 准教授 (90585845)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 交通行動分析 / ジョイントアクティビティ / レジャー活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
第一に、ジョイントアクティビティに関する既往研究レビューを行い,その重要性を確認する共に,その要因整理を行い,統計的調査に基づく全体像の把握が米国の事例に限定されていることを整理した.そのうえで,日本の社会生活基本調査の複数年データを用い,ジョイントアクティビティの実態と特徴を明らかにした.具体的に,日本では米国よりジョイントアクティビティが少なく,かつ減少していたこと、減少した部分が非家族同伴活動ということを明らかにした.また,同伴活動には個人差があり,その活動時間は単独活動より長く,平日は昼前後と夕方に集中すること.レジャーを目的とする活動の場合は非家族同伴の割合が最も高く,週末は家族と一緒に過ごす傾向があることを示した.この成果については、学会発表し、加筆修正後に学会誌に投稿し、現在は査読中である。 第二に、ジョイントアクティビティの逐次的フレームワークについての検討を進めた。レジャー活動の生成に関して、潜在ニーズとの関係を整理し、複数の潜在ニーズを満たすかどうかによりレジャー活動が発生するというフレームワークを整理した。また、ジョイントアクティビティの生成に関して、相乗りの成立に相手との類似性が影響するという既存研究を整理した。これらに、特定の場所が特定のジョイントアクティビティに適するかどうかという「場所性」を加えた分析フレームを構築中である。なお、相手との類似性のジョインアクティビティ生成への影響に関しては、別予算で実施した調査による予備的分析を実施し、この調査の改良版を設計中である。 第三に、新規の研究テーマとして、大学院に入学した留学生のソーシャルネットワークの形成とジョイントアクティビティの実態把握を行う調査を設計し、予備調査を行った。平成31年度に入り本格調査に移行する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度について、ジョイントアクティビティの実態把握は順調に進み、学会発表を経て、現在、学会論文審査中である。また、逐次的意思決定フレームワークの構築に関しては、social tiesを相手との類似性で表すこと、placeを特定の活動に対する相応しさで表すことを整理した。 当初、外食など、特定の余暇活動に限定した分析を予定していたが、潜在ニーズを異なる余暇活動が従属するという、より現実的な分析フレームを検討し、別予算にて、このフレームの有効性を確認するための調査を実施し、その有効性を確認した。このため、本研究においては、この新しい分析フレームを使用して、ジョイントアクティビティの生成要因を把握することとし、その調査に充てるため、平成30年度に予定していた支出の一部を次年度に繰り越すこととした。 また、加えて、予定以上のこととして、新規留学生のソーシャルネットワーク形成とジョイントアクティビティ形成の関係を捉える調査を設計し、予備調査を実施し、本格調査に移行の予定である。 以上のように、分析フレームの変更はあったが、むしろ、大きく改善されたものであり、全体としておおむね順調に伸展していると判断する。
|
Strategy for Future Research Activity |
逐次的フレームワークの構築に関しては、当初の方針に沿って、social tiesの影響考慮したモデル構築を進めるとともに、Placeの適切性を捉える方法を研究分担者と議論して絞り込むことに力点を置き、Place要因の調査方法を構築する。 潜在ニーズと目的の異なる余暇活動との関係を捉える、新しい分析フレームに関して、調査の方法を、同伴活動と単独行動の違いに着目したものに再設計して、同様の分析フレームを適用し、同伴活動と単独活動の生成に、同伴相手のタイプ(家族、友人、職場の仲間など)や個人属性(自由に使える時間や空いた時間での外出傾向など)がどのように影響するかを分析して把握する予定である。 この調査とは別に、Place要因を含むモデル構築に向けた調査を設計し、予備調査を実施する予定である。 また、新規留学生のソーシャルネットワーク形成とジョイントアクティビティ生成の関係に関しては、新年度早々に本格調査を実施し、モデル構築に進む予定である。 そのほか、移動の同伴者情報を詳しくとらえた北九州パーソントリップ調査の結果についての情報収も進める予定である。、
|
Causes of Carryover |
ジョイントアクティビティの生成メカニズムの分析フレームを、当初は、外食など、同伴活動の多い特定の余暇活動に限定して分析する予定としていたが、複数の潜在的ニーズを様々な余暇活動で満たすために様々な余暇活動が生じるという、より現実的な分析フレームに変更した。この新しい分析フレームの有効性を示す調査と分析は別予算で実施したが、複雑なモデルが推定可能であり、より現実的な解釈も可能であることが判明したことから、当研究もこの新しい分析フレームを採用することと方針変更した。ジョイントアクティビティに重点をおく調査を現在、設計中であり、このややコスト高となる新しい調査費用をカバーするため、今年度に支出予定した予算の一部を次年度に繰り越すこととしたものである。
|
Research Products
(1 results)