2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of the Urban Economic model based on CGE approach to evaluate regional revitalization policies
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18K04387
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
武藤 慎一 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (90313907)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 地域経済活性化 / 応用一般均衡モデル / 応用都市経済モデル / 便益評価 / 産業連関効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,応用一般均衡型都市経済(CGEUE:Computable General Equilibrium & Urban Economic)モデルを開発し,地域経済活性化のために有効な政策評価を行うことにある.研究一年目(H30)は,CGEUEモデルのを開発した.そして,研究二年目(H31・R1)は,CGEUEモデルを用いたリニア中央新幹線山梨県駅のアクセス交通整備効果の計測,笛吹市バス交通ネットワーク再編効果の計測,甲府都市圏の効率的な道路ネットワーク維持管理による地域経済影響評価を行った.そして,研究三年目(R2)は①脱炭素社会に向けた都市交通政策評価,②食と農に関連した産業誘致の政策評価を行った. ①では,今後の地域経済活性化について考えるにあたり,温室効果ガス(GHG)の削減が制約になる可能性が高い.そのため,脱炭素化のための都市交通政策がGHGの削減に与える効果に加え,地域経済にもたらす影響についてCGEUEモデルにより評価を行った.その結果,新技術といえる電気自動車(EV)の普及政策がGHGの排出削減と走行費用低減による便益との双方の効果を発現する最も効果的な政策であることが明らかになった.②では,山梨県昭和町において,隣接する山梨大学医学部および山梨大学病院との連携が期待できる化学工業製造業あるいは飲食料品製造業と飲食サービス業の誘致効果の計測を行い比較した.化学工業は薬品や薬剤などの開発および供給,飲食料品製造業と飲食サービスは健康食品の開発と供給において,医学部や病院との連携が可能と考えたものである.CGEUEモデルを用いた評価により,飲食料品関連産業の誘致による地域経済活性化の方が効果の高いことが示された. 以上のとおり,研究三年目はCGEUEモデルを用いて地域経済活性化のための都市交通政策および産業誘致政策が評価できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの進捗は,「(2)おおむね順調に進展している。」とした.当初計画では,研究三年目は土地造成等による産業支援策の評価を行うとしていた. これに対し,研究三年目までにリニア中央新幹線の山梨県駅アクセス交通整備に加えて,山梨大学医学部および山梨大学病院との連携を念頭においた化学工業製造業あるいは飲食料品製造業と飲食サービス業の誘致の経済効果の計測を行った.それに加え,今後の地域経済発展の制約になると懸念される地球温暖化問題に関し,地域経済への影響をCGEUEモデルによって評価することにより,極力経済的影響を生じさせることなく脱炭素化が図れる都市交通政策の評価も行えた. 以上の内容は,一年目でCGEUEモデルの開発を行い,二年目でリニア中央新幹線山梨県駅のアクセス交通整備,笛吹市バス交通ネットワークの再編,効率的な道路ネットワーク維持管理策の各種政策の評価をCGEUEモデルにより実施し,当該モデルの検証と修正を行えたことによって実現できたものといえる. ただし,研究三年目は新型コロナウイルス感染症が広がり,学会やミーティング等が開催できなかったため,広く意見をいただいたり,議論を行ったりすることができていない.その意味では,CGEUEモデルを用いて得られた政策評価に基づく成果は,研究代表者個人の考えのみに基づくものとなってしまっている.令和3年度に入り,令和2年度には中止となった各種学会やミーティングも,オンライン開催や感染対策を行っての開催なども工夫して実施されるようになってきている.そうした機会を活用して研究成果の対外的な公表やそこでの議論に基づくCGEUEモデルの改良,政策評価方法の改善を図っていく必要がある. したがって,上記のとおり判定した次第である.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は,三年間で終了する予定であった. 研究代表者の個人的な研究進捗は当初の予定どおりに進めることができ,CGEUEモデルの開発,そして当該モデルをリニア中央新幹線のアクセス交通整備,バスネットワークの再編計画,温室効果ガス(GHG)排出削減のための都市交通政策,そして産業誘致政策の評価に適用し,各種地域経済活性化策の検討を行うという成果を挙げられた. しかし,新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い,各種学会やミーティングが中止となってしまい,研究成果の対外的な公表や様々な研究者との議論によるCGEUEモデルの改良や政策評価方法の改善を行うことがほとんどできていない. 令和3年度は,学会も開催されるであろうことを期待し,そうした学会での積極的な研究発表,そして学術誌への論文投稿,さらに著書の執筆などを推進させていく予定である.そのような活動を通じて,CGEUEモデルの更なる発展を進めるとともに,本モデルの他の研究者や実務においても利用されるように努め,研究成果の社会還元を図っていくことを今年度の課題としたい.
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Causes of Carryover |
研究三年目は新型コロナウイルス感染症が広がり,学会やミーティング等が開催されなかったため,経費の使用に対して変更が生じた.また,それに伴い広く意見をいただいたり,議論を行ったりすることができなかった.令和3年度に入り,令和2年度には中止となった各種学会やミーティングも,オンライン開催や感染対策を行っての開催なども工夫して実施されるようになってきている.次年度は,そうした機会を活用して研究成果の対外的な公表やそこでの議論に基づくCGEUEモデルの改良や政策評価方法の改善を図っていくための経費として使用する予定である.
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