2018 Fiscal Year Research-status Report
点検情報の価値を考慮したロバスト最適点検・補修計画モデルの開発と適用
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18K04392
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大窪 和明 東北大学, 国際文化研究科, 助教 (50546744)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
全 邦釘 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 准教授 (60605955)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | インフラ維持管理 / 情報の価値 / 代替重要度 / 橋梁連関表 / 最適化 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,四国地方を対象に橋梁の点検調書などのデータを収集し,長年,健全な状態を保っている橋梁から,供用開始後の比較的,短期間に損傷が確認された橋梁まで様々な橋梁が存在していることがわかった.これらの収集したデータに対して混合マルコフ劣化ハザードモデルを適用し,将来の期待劣化パスと予測区間を算出し,橋種ごとの劣化傾向の違いや劣化要因を明らかにした.さらに推定したモデルから劣化予測パスを求め,点検や補修工事によって生じる期待ライフサイクルコストを橋梁ごとに算出し,最適な点検間隔について議論した.また,橋梁など構造物の劣化は,海岸からの距離など地理的な影響を受けやすいため,舗装の劣化速度に関して,地理的な位置関係を明示的に考慮した探索的空間データ分析を行った.その結果,ひび割れ率やわだち掘れ量などで評価された路面性状値について,劣化速度の速い舗装が地理的に集中しているようなホットスポットが存在していることが明らかになった. さらには,点検情報を考慮した最適点検・補修計画モデルを開発する一貫として,限られた予算の中で優先的に点検・補修を実施すべき橋梁を特定するための方法として,橋梁連関表および橋梁の代替重要度による評価手法を提案した.これは,道路ネットワークのリダンダンシーを高めるために,多くのODペアに利用されている橋梁だけではなく,他の橋梁が廃止または通行止めになったときに代替路として利用される可能性を考慮した評価手法である.橋梁連関表は,橋梁管理者を超えて,道路ネットワーク上の橋梁の重要度を把握する上で有用な評価手法であると考えられる.その他にも,劣化に関する調査結果から橋梁などの構造物の健全度を判断する際に,「健全でない」施設を,分類木上「健全である」と判断してしまうような重大な誤判別の回避を明示的に取り扱う重み付き最適分類木を提案した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
点検情報を用いて劣化予測を実施し,橋梁に応じた点検間隔を議論するための方法論の提案や,橋梁の最適点検・補修計画の策定のための最適化モデルを用いた評価手法の提案など,おおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に従い,追加的に点検調査の結果を加えることによる予測誤差の期待改善量を定式化し,最適点検補修計画モデルのさらなる開発などを進める.
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