2019 Fiscal Year Research-status Report
A Atusy on the New MNobility Service combined Autonomous-driving and Car-sharing
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18K04393
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
溝上 章志 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 教授 (20135403)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
圓山 琢也 熊本大学, くまもと水循環・減災研究教育センター, 准教授 (20361529)
藤見 俊夫 熊本大学, くまもと水循環・減災研究教育センター, 准教授 (40423024)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | シェアリング / 自動運転 / SAVs運用シミュレーションモデル / クルマの移動と駐車 / 適正駐車容量 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,クルマの移動と駐車時間,およびゾーン別の流入・流出台数の実態を明らかにすることによって,熊本市都心部における適正な駐車容量を試算すること,駐車時間が大幅に減少することが予想される自動運転車両によるカーシェアリングサービスSAVs(Shared Autonomous Vehicle service)が普及した後の自動車類による適正な駐車容量を試算することを目的とした. 本研究で得られた成果を以下に箇条書きで示す. 1) 第3回と第4回の熊本都市圏PT調査のマスターデータより,熊本都市圏にある自家用車の移動時間はわずか3%程度であり,大半の時間は駐車していること,この傾向は経時的に大きな変化はないこと,自宅での駐車は約75%であり,その4割は1日中,自宅に保管されている.都心部を除いて,1997年には流入超過型であったゾーンの大半が 2012年には流出超過型に変化している.都心部は流入超過のままで駐車需要は多いものの,1997に比較して,その数はかなり減少している. 2)駐車容量算出シミュレーションと待ち行列理論とによって現在の駐車需要に対応した適正な駐車容量を試算したところ,現在提供されている駐車スペース数はかなり過大あることが明らかになった. 3)SAVsへの転換モデルとSAVs車両購入・貸出モデルを内挿したSAVs運用シミュレーションにより,ゾーン別にSAVs導入前後の総駐車回数,総駐車時間を算出したところ,総駐車回数は都心部で約2倍まで増加するが,総駐車時間は1割程減少する.そのため,1台当たりの平均駐車時間は約半分になる.そのため,SAVs の普及によって都心部の適正駐車容量は上記の試算値よりもさらに少なくても良くなることが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度はSAVs普及後の熊本都市圏における自動車利用率やモビリティ水準の変化,および駐車時間などの社会的インパクトの予測を行うことを目的とした.これらの目的は全て達成された上に,現在都心部に提供されている駐車スペースの需給状況を分析し,現状でも供給過剰になっていること,SAVsが普及すると自動車類の利用時間は増加し,都心部への発着回数は増加するものの,自家用車利用からSAVsへの転換のために駐車時間は減少し,自動車類1台当たりの平均駐車時間が減少するために,適正な駐車容量はさらに少なくとも済むことを明らかにできた. 我が国の駐車場施策としては,1957年に駐車場法が制定されて以降,自動車交通が著しく輻輳する地区等を「駐車場整備地区」として定めるとともに,駐車場整備計画に基づき,都市計画駐車場等の整備,建築物の新地区等に際して駐車場の附置を義務付ける「附置義務駐車場」の確保等が進められてきた.しかし,近年,自動車の保有台数は横ばいを推移している中,駐車場総スペースは増加し続けているため,駐車場が過剰に整備されているとも言われている.特に,大都市においては,公共交通のサービス向上により,附置義務駐車場の稼働率は低下している.一方,地方都市においては,空地や建て替えによりコインパーキングへの土地転用が急増,かつ大量に進んだ結果,駐車場の過剰供給が続いている.また,無秩序に整備が進んだため,連続した街並みの喪失やまちの魅力の低下等を招いている. 本研究成果は,まちづくりの一環として取り組むべき駐車場施策の中で,駐車場の量的供給量の適正化のために需給状況を把握する方法を提示し,適正な駐車容量を試算するなど,有用な知見を与えた.
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Strategy for Future Research Activity |
本分析のベースとなる交通動態データは熊本都市圏パーソントリップ(PT)調査である.PT調査は通常の平日の交通動態を把握するものであるため,本研究で得られた知見,特に都心部の駐車容量の試算値は平日だけに対するものである.休日には都心部への買物目的の自動車利用が多い上,ピーク率も高いため,実際の必要量はここで得られた試算値よりもかなり多めになると思われる.今後は何らかの方法で休日の都心部を発着ゾーンとするトリップの動態を知る必要がある.また,SAVsの需要を決める転換モデルと車両の購入・貸出モデル,車両の時々刻々の車両の位置を記述するSAVs運用シミュレーションモデルについても精緻化を図る必要があろう. 今回は駐車場の量的供給量の適正化のために需給状況を把握し,適正容量を試算したが,今後は位置・場所などの質の適正化を図るための分析,計画方法の開発と政策が求められる. 最終年度は上記のような課題を解決することを目標とする.
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Research Products
(7 results)