2019 Fiscal Year Research-status Report
Sustainability of small fishing villages after the Great East Japan Earthquake considering the households stay on disaster site and relocated households
Project/Area Number |
18K04396
|
Research Institution | Tohoku Institute of Technology |
Principal Investigator |
稲村 肇 東北工業大学, 工学部, 名誉教授 (50168415)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 東日本大震災 / 防災集団移転 / 被災住民の転居 / データベースの作成 / 電話帳の追跡 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度(平成30年度)までの研究では以下のようなことが得られてきた。1)複数年の電話帳のマッチングにより居住地変化の80%程度が把握されることが明らかとなった。2)分析の結果、居住地変化なし11.1万世帯、同 自治体内移転1.6万世帯、地域外移転3.6万世帯、転入7,500世帯が明らになった。令和元年度に得られた研究成果は以下の通りである。 1. 電話帳マッチングを実施する中で、電話設置数が居住世帯数より有意に多くなるというデータ上の問題点が発生したため、石巻市の合併前の旧市町、特に旧雄勝町で詳細なデータの精度の検証を行った。その結果、得られた主たる結論は以下の通り。1)被災市町でも被災しない地区では十分な精度で住居移動が把握できる。2)津波被災地でもその被害の程度で電話帳の更新遅れにも大きな差が生じ、石巻市雄勝町、北上町など広域で破壊された地域は大きな遅れが生じている。3)電話帳更新の遅れの大半は電話不移動世帯と思われ、移動データ数は過少推計になるものの、居住地移動したデータの居住地は十分信頼できると思われる。 2. 電話帳マッチングとしての研究成果は以下のとおりである。1)複数年の固定電話のマッチングで、世帯の居住地変化の50%程度が把握されることが明らかとなった。昨年の研究成果(80%)は過大であった。2)被災地18.7万世帯の約1/3の世帯が被災地を去り、元の市町に戻ってきた世帯は10%以下である。3)約1.2万世帯が被災地で新たな固定電話を取得しているが、この中には新たな転入世帯と電話番号を変えた旧住民が含まれる。4)石巻市では市内の中心部の被災が相対的に少なかったにもかかわらず、時間3断面(2007、2012、2019)の継続居住は49.4%と11市町平均より15ポイント以上低い。特に旧雄勝町では60%以上の世帯が地域を離れた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度までは研究対象市町村を下記の津波で大きく被災した7市4町としてきた。岩手県:宮古市、山田町、大槌町、釜石市、大船渡市、陸前高田市、宮城県:気仙沼市、南三陸町、登米市、石巻市、女川町 しかし、住民の居住地移動の把握のためには更に地域外の主たる移転先である、次の8市を追加する必要性が出てきた。岩手県:盛岡市、滝沢市、花巻市、北上市、一関市、宮城県:大崎市、仙台市、東松島市 このため、必要なデータの収集に時間とお金が必要となって、すこし手間取っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方策 本年度、本研究に不可欠な令和2年度国勢調査が始まる、新コロナウイルスの状況が非常に不安である。本年度は令和2年10月に国勢調査あるため、令和3年1月頃に対象15市4町の電話帳を購入して分析を進める予定である。新たな対象8市とのマッチング研究も進めるつもりである。
|
Causes of Carryover |
研究対象地域が7市4町であったのが、15市4町へと大幅に増加したため、次年度のデータ購入費用が不足する恐れがあった。今年度、節約して来年度に備えた。
|
Research Products
(7 results)