2018 Fiscal Year Research-status Report
Effects of intermittent contact oxidation on microbial population in in-sewer purification
Project/Area Number |
18K04405
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 弘泰 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (90251347)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 間欠接触酸化法 / 管路内下水浄化 / 干出ストレス / 微生物叢 |
Outline of Annual Research Achievements |
下水管の上流部では、住民のトイレや風呂、食器洗浄など限られたタイミングで下水が流れることとなる。こうした流量変動に着目すれば、次のような原理で下水管内で下水の水質改善(管路内浄化)を実現することができる可能性がある。例えば、管内に微生物付着担体を導入すれば、そこに生息する微生物は下水流下時に下水中の汚濁成分を摂取蓄積し、下水が流れ去り担体が空気にさらされれば、微生物は蓄積した汚濁成分を酸素を用いて酸化分解できるだろう。こうした原理を本研究では間欠接触酸化と呼んでいる。本研究では、間欠接触酸化の条件が微生物相やその活性に及ぼす影響を明らかにすることで、浄化メカニズムへの理解を深めるとともに、今後の技術開発につながる情報を得ることを目的としている。 本年度は主として装置の製作および運転を行った。対象有機物負荷として、(1)油脂(模擬成分としてマーガリン)、(2)家庭からの流下直後の下水管内の状況を模擬した極端な間欠負荷条件(酢酸主体排水)、(3)最初沈殿後の実下水、の3通りについて検討した。また、(1)および(3)については微生物担体として用いるスポンジの網目の密度の影響についても検討した。 スポンジ担体については細目~粗目(18~6セル/cm)の三段階の連続気泡ポリウレタンスポンジを用い、比較した。(1)、(3)の場合とも、目の最も粗いスポンジで最も良好な結果が得られた。排水後、スポンジ内部に空気が入りやすいことがその原因だと考えられた。(3)では20℃の場合、スポンジ担体1Lあたりでの性能は概ね1日あたり有機物と3グラムの酸素を反応させうる程度であった。(1), (2)の検討ではそのおよそ2/3程度だった。また、(2)の検討から、下水とスポンジの接触が5分程度の短時間でも性能を発揮できることを確認できた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
装置の製作や運転開始については大きな問題はなかった。しかし、実下水処理場での実験は流入下水の水質変動の影響を受け、評価を下すにあたっては時間をかけてデータを集める必要があると感じている。水質よりもむしろ装置内部の空気中の酸素の消費量から評価することで、装置の運転性能を連続的にモニタリングすることに成功しており、その結果、流入水質や天候の影響を受けつつもなお、信頼性の高いデータを得ることができつつある。 装置の性能評価については順調だが、微生物担体が下水に浸漬されたり空気に長時間晒されるストレスが微生物叢や微生物代謝に与える影響については初年度においては進めることができなかった。試料は採取してあるので、2019年度に取り組むべき課題として捉えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
2019年度は初年度に引き続き間欠接触酸化法の実験装置の運転を継続し、装置の性能に与える因子について検討するとともに、微生物分析用試料の採取を継続する。初年度に引き続き、水温の影響および浸漬・干出時間の検討を継続する。さらに、微生物担体の下水への浸漬や空気への干出が微生物の活性や種構成に与える影響についての検討を開始する。
|