2018 Fiscal Year Research-status Report
分流式下水道に流入する汚水のリスク物質の発生源 ~生活様式か雨天時流入か~
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18K04408
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
尾崎 則篤 広島大学, 工学研究科, 准教授 (50294541)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金田一 智規 広島大学, 工学研究科, 助教 (10379901)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 生物検定 / 毒性 / 下水道 / 流入 / 生活排水 / 路面堆積物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は分流式下水道に流入する汚水のリスク物質-生物検定によって得られた毒性量について,特に疎水性の有機物質に起因する毒性量について発生源を知ることである.疎水性の有機物質に属するリスク物質は多くは汚泥へ移行し,一部は緑農地還元される.想定される発生源は多岐にわたるが本研究では申請者らの先行研究により疑いが高いと考えられた都市的な生活に起因する生活排水か雨天時流入かに焦点をあて発生源を探る.解析の参照物質として,生活排水起源として日用品に起因する化学物質を,雨天時流入起源物質として疎水性画分でのEEMs成分とPAHsとの比を検討する.下水処理場は生活排水をはじめさまざまな廃水を受入れ浄化する.処理は受入廃水の主成分たる有機系のmacropollutantsを対象とするが,そのほかにも微量な有害物質(micropollutants: 重金属類や微量有機有害物質)を含んでいる.本研究では特に疎水性の有機物質に着目する.それらは,化学種によっては生物分解されにくく多くが汚泥へ移行する.本研究の目的は下水汚泥中の疎水性有機画分の毒性負荷の発生源を知ることである.方法論として,発生源の疑いを都市的な生活排水か雨天時流入に絞り込み,どちらが発生源なのか?を明らかにする. 本年度は以下のようなサイトを検討した: ・都市的な生活をしていると想定されるコミュニティプラント ・さまざまな特性を持つ分流式下水道の流入水 その結果として,コミュニティプラントは複数検討したが,現在のところ採水は難しく,達成できなかった一方異なる特性を持つ分流しき下水道の流入水を入手することができた.その採水,分析を実施した結果,より大都市に立地するサイトにおいて,毒性(発光細菌Vibrio fischeriに対する毒性)が倍程度高いという傾向を得た.少なくとも都市的な地域での流入水のほうが高いという傾向を得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は初めて直接流入水を入手し生物検定を実施し,都市的な地域でより高いという明確化された傾向を得られた.初年度は理由を考察する基盤となる,明確な違いを得る調査サイトを見いだすことを主要な目標として設定しており,その点で必要な達成を得られたと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
前記の通り最低限必要な成果を得られたが,得られたサイトの発生源は多岐にわたっており,その違いの要員を明確化するには多要因に配慮した方法論とならざるを得ない.それは明確な原因を絞り込むためには非効率を否めない.そのため,既に得られたサイトで毒性の大小が出たその理由を探索することは当然ではあるが,さらに単純な発生源を持ちうるサイトを探索する努力(コミュニティプラント)も同時に行っていきたい.
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Causes of Carryover |
前年度当初予定よりも少ない調査数で明確な傾向がでることが可能になった部分があり,調査のための費用が少なく済んだ.これは当初研究者自身で調査を実施する予定であった下水処理場での流入水の採水について,下水処理場の担当部局が実施していただいたことによるものであった.また一方逆に調査を構想していたが実際には調査を実施することがかなわなかった調査(コミュニティプラントでの採水調査)があり,その分の支出がなかったためである. 今年度は下水流入水の調査においては調査に協力いただける自治体の支援を得つつ,調査を加速し(地点を増加させる)実施するべく検討を実施している.またコミュニティプラントについては,家庭流入水であることが明らかな地点を,さらに調査によって探索し別な手段を検討したいと計画している.
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