2020 Fiscal Year Research-status Report
機械学習による都市河川の親水利用における水系感染症発症リスクのリアルタイム予測
Project/Area Number |
18K04415
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Research Institution | Nishinippon Institute of Technology |
Principal Investigator |
高見 徹 西日本工業大学, 工学部, 教授 (80321529)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野中 尋史 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (70544724)
古川 隼士 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (90632729)
廣田 雅春 岡山理科大学, 総合情報学部, 講師 (70750628)
平岡 透 長崎県立大学, 情報システム学部, 教授 (30626891) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 病原微生物 / 水系感染症 / 機械学習 / 統計学的評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年都市再開発や地方創生を目的とした都市河川の親水利用が進んでいる。人と水との接触機会が多くなるほど、河川水質に由来する衛生学的な問題に注意を払う必要がある。特に水系感染症を引き起こす病原微生物の存在実態の把握と接触に伴う感染症の発症リスクを明らかにすることは最重要の課題である。しかし、病原微生物に関する実測値は限られており、また、従来の生物学的試験法ではその濃度を適宜精度高く予測することは不可能である。 そこで本研究では、都市河川の親水利用における衛生学的な安全を確保するため、近年人工知能研究の分野で有力な技術・手法として発達している機械学習を利用したモデルによって、都市河川の病原微生物濃度をリアルタイムで予測する方法を確立し、水系感染症の発症リスクの予測を可能にすることを目的とする。 5ヶ年の研究期間における三年目は、前年に引き続き一級水系の大分川下流域を対象として、一般水質項目とその他環境因子(降水量、流量、潮位)に関するデータ収集、各種病原微生物の増殖と予測に関する文献収集を行ったが、コロナ禍の影響により、病原微生物とその関連水質の実測をほとんど行うことができなかった。しかし、新たに改良したモデルと新たに収集した各種データを用いて対象地点の病原性微生物濃度の予測を行い、予測値の精度向上を試みた。その結果、対象地点における所定月の病原性微生物濃度の予測値と実測値との間に依然差異が認められたが、改良による精度向上が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
5ヶ年の研究期間の三年目は、それまでに収集した各種データと新たな実測データをもとに、機械学習による病原微生物濃度とそれに伴う感染症発症リスクの予測を試みることを計画していた。これらのうち公的機関および文献によるデータの収集については予定通り実施できたが、病原微生物の実測をほとんど行うことができなかった。収集した各種データと新たに改良したモデルを用いて対象地点の病原性微生物濃度の予測を行い、予測値の精度向上を試みた結果、予測値と実測値との間に依然差異が認められたが、改良による精度向上が認められた。ただし、データ不足に起因する精度の低下を、実測データをもとにしたデータ生成によって補う試みを実施するに至らなかったことから、現在の進捗状況はやや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
5ヶ年の研究期間の四年目は、前年度実施できなかった病原微生物の実測を確実に実施し、前年度計画の遅れを取り戻す。実測データと他の各種データとの相関に関する統計学的解析により、機械学習の精度向上に資するデータ生成を行うとともに、データ生成が病原性微生物濃度の予測値に及ぼす影響を評価する。加えて、当初からの計画である他河川における本機械学習モデルの適用についても検討する。また、リモート会議により、研究分担者との研究打ち合わせを密に行い、研究の進捗を確実なものにする。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、当初計画していた現地調査がコロナ禍のためほとんど実施できず、調査に必要な物品をほとんど購入しなかったためである。次年度は安全に配慮しつつ現地調査を確実に実施し、次年度分として請求した助成金と合わせて計画どおり使用する予定である。
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