2019 Fiscal Year Research-status Report
積雪期に地震動を受ける中小規模空間制振構造の限界雪荷重と厳冬期避難施設の機能確保
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18K04427
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
石川 浩一郎 福井大学, 学術研究院工学系部門, 教授 (50168192)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 雪荷重 / 水平・上下地震動 / 部分球殻 / 二層立体トラスドーム / 部材座屈 / 鉛直荷重支持耐力 |
Outline of Annual Research Achievements |
厳冬期の過酷な複合災害時の避難所として役割を期待されている中小規模空間構造を対象として、壁型や屋根型のむくりのある構造特有の面外方向振動や雪荷重の付加質量の影響を考慮したガラスや木毛セメント、ALCのパネル、在来金属系下地天井のパネル等の応答性状を解明する必要がある。しかしながら、この種の研究の蓄積はいまだ十分ではなく耐震設計や耐震診断、耐震補強等に寄与できていない。特に、多雪地域においては断熱用に多様なパネル吊材が用いられている。このことは工費及び合理的な設計について問題を含んでいると言える。したがって、パネル吊材等に作用する合理的な設計用震度計算法の提案や本研究で得られる学術的な知見を反映させて、曲面構造及びパネル吊材等を一体とした構造設計法の確立及び簡便で実用的な検証法の構築を本研究の目的としている。 多雪地域や一般地域に建つスパン30mの二層立体トラス置屋根型ドームと壁型の曲面立体トラス構造を対象として、水平・上下地震動を受ける中小規模空間構造の動的崩壊に及ぼす最深積雪量や雪荷重分布の影響を弾塑性地震応答解析により以下のように研究を進めた。すなわち、損傷・安全限界地震動を受ける中小規模屋根型曲面トラス構造の動的崩壊に及ぼす雪荷重の影響に関して部材の連鎖座屈や支持部材反力等を弾塑性地震応答解析により解明した。また、本トラス構造の動的崩壊機構に及ぼす雪荷重や偏分布を考慮して限界雪荷重の推定法を提案した。さらには、大屋根を有する曲面立体トラス構造の雪荷重の割増や部材耐力の余裕度をどの程度まで保有させるかについてのデータも蓄積できることも示した。そして、地震荷重との組合せ時における設計用雪荷重や許容応力度設計に対する学術的な知見を与えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書に記載した研究目的や研究計画にしたがって研究が進められ、目的の大部分を達成した成果が論文として発表できたことが理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
偏分布雪荷重や最深積雪量の割増率や必要部材・支持部の耐雪及び耐震性の必要余裕度を本トラス制振構造について提案する。また、過去の多雪時の直下型地震すなわち複合災害の被害事例に基づき厳冬期の避難施設の機能確保や耐震化のあり方についても併せて提言する。
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