2018 Fiscal Year Research-status Report
コンクリートの圧密特性及び透水・脱水工法による品質改善効果予測に関する実験的研究
Project/Area Number |
18K04450
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Research Institution | Hiroshima Institute of Technology |
Principal Investigator |
坂本 英輔 広島工業大学, 工学部, 准教授 (40583539)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | コンクリート / 真空脱水処理工法 / 調合推定 / 密度 / 圧縮強度 / 中性化速度係数 / セメント水比 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,透水・脱水工法を行ったコンクリートについて,これまでに研究代表者が提案した改良型透水・脱水モデルの適用範囲を拡張し,表層からの品質改善効果を定量的に評価・推定することができるモデルを構築することである。 交付申請書に記載した研究実施計画では,初年度である当該年度に改良型圧密試験装置を作製し,フレッシュコンクリートに先立ち,フレッシュモルタルの圧密特性を明らかにする予定であった。しかし,コンクリートの基本調合の検討,他学科と共有している実験室の使用状況,研究室の体制などを総合的に判断し,研究2年目および3年目に予定していた,真空脱水コンクリートおよび透水性型枠コンクリートの実大供試体を用いた大型の実験を先行して行うこととした。 具体的には,真空脱水コンクリート(510mm×510mm×高さ180mm)および透水性型枠コンクリート(幅350mm×厚さ150mm×高さ1000mm)の実大供試体をそれぞれ作製し,材齢3日で脱型した後,材齢21日以降に実大供試体1体につき,密度・圧縮強度試験用3本,調合推定用1本,促進中性化試験用15本の合計19本のφ60.5mmコア供試体をコアドリルにより採取した。密度・圧縮強度試験用コアを用いて,気中質量,直径および高さを計測して密度を算出し,その後,圧縮強度試験を実施した。促進中性化試験用コアは,促進中性化試験装置に入れ,促進中性化試験を継続中である。調合推定用コアからは厚さ3mmのスライス試料を切り出し,セメント協会・コンクリート専門委員会報告F-18に準じて調合推定を行った。併せて,次年度に向け,交付額を考慮した改良型圧密試験装置の図面を作成し,それに装着する土圧計,変位計などの型番をリストアップして下準備を行った。なお,真空脱水コンクリートの実大供試体を用いた実験については,実験結果を取りまとめ,成果報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した研究実施時期の入れ替えを行い,改良型圧密試験装置の作製に先行して,実大供試体を用いた大型の実験を実施したが,本研究全体の遂行に及ぼす影響はほとんどない。また,市内の試験所にある促進中性化試験装置を無料で使用することができたため,コンクリート極表層の品質改善効果を,当初計画していなかった促進中性化試験により検討することができた。以上のように,研究の推進方策について変更は生じているが,総合的に判断すると,おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
交付申請書において初年度に行う計画であった内容を実施する。すなわち,改良型圧密試験装置を作製し,既報のモルタルの調合条件について圧密試験を行い,その結果と既報の結果を比較し,装置の修正・改良などを行う。次いで,水セメント比,セメント種類,細骨材率,スランプ,粗骨材かさ容積,粗骨材最大寸法といったコンクリートの調合条件がフレッシュコンクリートの圧密特性に及ぼす影響を明らかにする。併せて,硬化後の圧密試験供試体から,密度・圧縮強度試験用コアおよび調合推定用コアをそれぞれ採取し,圧縮強度試験および調合推定を実施し,圧縮強度分布およびセメント水比分布を明らかにする。
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Causes of Carryover |
交付申請書に記載した研究実施計画では,初年度である当該年度に改良型圧密試験装置を作製するための費用を計上していたが,研究実施時期の入れ替えを行い,それより大幅に計上額の少ない,真空脱水コンクリートおよび透水性型枠コンクリートの実大供試体を用いた実験を先行して実施したためである。次年度は,改良型圧密試験装置を作製するため,当該年度の余剰額を使用する計画である。
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