2018 Fiscal Year Research-status Report
2台のドップラーライダーによる都市大気の移流・乱流拡散の空間分布と時間変動の計測
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18K04453
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石田 泰之 東北大学, 工学研究科, 助手 (20789515)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
持田 灯 東北大学, 工学研究科, 教授 (00183658)
渡辺 浩文 東北工業大学, 工学部, 教授 (60247236)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ドップラーライダ― / 上空気流性状 / 温湿度の多点同時測定 / 粗度立面積密度 / LES / 移流乱流拡散 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)2台のドップラーライダー計測:夏季(8月~約2週間)に仙台市都心部の高層建築2棟(電力ホール、東北電力本店ビル)の屋上にそれぞれ1台ずつドップラーライダー(レンタル)を設置し、上空の風向・風速の鉛直成分や水平方向の変動成分の水平分布などと同時に鉛直方向の変動成分の鉛直分布を計測し、移流・乱流拡散性状の時間変化のデータが得られた。この結果を気象条件で分類し分析することで、海風進入時と内陸側からの風の進入時では上空の風向・風速の鉛直構造や、鉛直混合の性状が異なることが分かり、これらの時間変化を詳細に把握できた。 2)仙台市内の小学校における温湿度の多点同時測定:既存の仙台市内計22か所の小学校百葉箱と、これに加えて新規に荒浜海岸公園にも百葉箱を設置し、百葉箱に入れた温湿度センサ付きデータロガーにて、仙台市広域の温湿度の空間分布及びその時間変化を測定した。これは1)の計測と同時に測定した。この測定により、海風進入時には沿岸地域から気温上昇の停止が生じる様子が確認された。 3)風環境評価指標の検討:数値解析(LES)を実施し、着目する街区の風下側領域における風環境を予測し、風上側にある市街地が風下側の市街地の通風性能へ与える影響を評価した。 4)GIS/DSMを併用したLES:LCZ(Local Climate Zone)区分に基づいて選定した仙台市内の13ケースの実街区の建物形状データを、衛星データ(DSM)に基づきGISによって生成した。これを対象にLESを実施し、各街区の歩行者高さにおける風環境の特性を分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
「5. 研究実績の概要」の「3)風環境評価指標の検討」、「4)GIS/DSMを併用したLES」は当初の今年度実施予定項目ではなかったが、研究が大幅に進んだため実施された。本成果は2019年度日本建築学会大会(北陸)で発表予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
1)昨年度に実施した2台のドップラーライダー計測で得られた移流・乱流拡散性状の時間変化について、仙台市内の小学校における温湿度測定結果と併せて、種々の気象条件を基に類型化し、移流・拡散性状と温湿度分布と気象条件の関係を分析する。 2)市街地内の地表付近における風環境改善効果と風下側の風環境へ与える悪影響を同時に評価する新たな風環境評価指標を検討すると同時に、提案した風環境評価指標の適用可否の評価を実施する。 3)仙台市を対象に、昨年度の解析で不足していたLCZ区分に対してLESを実施し、実市街地の形状が地表付近の通風性能に及ぼす影響を分析するとともに、上空から市街地への風(運動量)の輸送メカニズムを明らかにする。また、気象条件毎に解析を実施する。
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Causes of Carryover |
交付額に基づきドップラーライダーのレンタル期間を短縮した結果、差額(次年度使用分)が発生した。以下のように使用する予定である。 「7. 現在までの進捗状況」の通り、「風環境評価指標の検討」と「GIS/DSMを併用したLES解析」が当初の計画以上に進み、次年度に当初の計画以上の成果投稿・発表が可能となったことから、成果投稿に係る英文校正費、成果発表旅費に充てる計画である。
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