2018 Fiscal Year Research-status Report
吸脱着交互運転により稼動する吸着式冷凍機の冷水出口温度一定化に関する研究
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18K04457
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
小金井 真 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (60555738)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 吸着式冷凍機 / 出力変動 / 出力一定化 / サイクルタイム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、冷水出口温度が大きく変動する(4~5℃)吸着式冷凍機において、装置内部で冷却水流量やサイクルタイム(吸脱着の切替時間)を変化させることにより、冷水温度の一定化をはかるロジックを実験とシミュレーションにより確立し、吸着式冷凍機の出力制御法を確立することである。 吸着式冷凍機の出力変動の要因は、吸脱着交互間欠運転に基づくもの(出力変動要因①)の他に、外気負荷変動によるもの(出力変動要因②)、建物熱負荷変動に基づくもの(出力変動要因③)がある。30年度は、変動要因①に基づく出力変動の最小化に関する検討を行った。温水温度、冷却水温度、冷水入口温度は一定値とし、試作機実験によって冷水出口温度変動最小化のための冷却水量増減パターンを把握した。 その結果、冷凍能力が最大となるサイクルタイム4分及び熱COPが最大となるサイクルタイム8分において、1サイクル内での冷却水量をそれぞれ3段階及び6段階に調整することにより冷水出口温度の一定化を図れ、冷水出口温度の平均偏差をいずれも±0.2℃以内に改善できることが分かった。また、低温排熱駆動型の本吸着式冷凍機は脱着速度より吸着速度が大きい特性を有するため、冷水出口温度の一定化運転を行う場合、定格値であるサイクルタイム4分よりサイクルタイム8分の方が冷媒脱着量が増加し、効率的な運転を行えることが分かった。 また、吸脱着シミュレーションによって冷水出口温度を一定化するための冷却水量増減パターンを理論的に把握し、理論値は実験値と概ね一致することを明らかにした。なお、熱交換器の熱容量による蓄熱分は吸脱着切り替え時の準備時間内に十分処理できていることが実験的に明らかになったため、蓄熱分の補正の必要が無いことも分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、30年度の主目的である以下の項目について結果を得ることができた。 ①試作機実験による冷水出口温度変動最小化のための冷却水量増減パターンの把握 ②吸脱着シミュレーションによる冷水出口温度および冷凍能力の変化特性の把握 ③上記①、②の比較・検討により、シミュレーション中のパラメータを補正 なお、シミュレーションで考慮できない容器、配管の熱容量による蓄熱の影響については実験値との偏差が出ることが予測されたが、吸脱着準備期間を設けている本実験装置の場合、その影響が極めて小さいことが実験的に明らかになったため、③については補正の必要が無いことが分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、冷却水温度等が一定ではなく変動した場合にも冷水出口温度変動を最小化できる実機制御法を確立する。具体的には、冷水出口温度をフィードバックするPID制御を行った場合の制御の追従性を確認し、高精度自動制御法を確立する。実機使用を想定して制御を行った場合の課題を抽出し、検討する。 また、30年度の理論解析結果に基づいて、気象条件に応じて変化する冷却水温度や温水温度を反映した年間シミュレーションを実施する予定である。
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Causes of Carryover |
電磁三方弁設置のための既設配管改造工事については、現調の結果、当初計上額を大きく下回ることが分かり、コントローラなどの機器類購入費も計上額より若干安価となった。差額分を国内学会発表の旅費に当てたが、若干残額が生じた。 残額は、次年度の学会発表旅費の一部として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)