2020 Fiscal Year Research-status Report
Prediction for long term degradation process of timber structures due to environmental conditions
Project/Area Number |
18K04461
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Research Institution | Ashikaga University |
Principal Investigator |
齋藤 宏昭 足利大学, 工学部, 教授 (20597827)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 拓郎 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 准教授 (00335225)
堀澤 栄 高知工科大学, 環境理工学群, 教授 (20368856)
中嶋 麻起子 広島工業大学, 工学部, 助教 (40773221)
小椋 大輔 京都大学, 工学研究科, 教授 (60283868)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 木材 / 劣化 / 耐久性 / 水分 / 予測モデル / 代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)腐朽材の代謝に関するモデリング 大径材を想定した木材の腐朽現象予測モデルを構築するには、菌糸の代謝を考慮する必要があり、昨年度までに木材を分解する際に生じる酸素及び二酸化炭素の生成・消費率を求めた。今年度は、木材分解に必要な酸素の濃度変化による腐朽速度への影響を測定した。測定結果から酸素濃度と腐朽速度低下率の関係を求め、酸素濃度14%で大気中の8割程度、7%では5 割以下に腐朽速度が低下する結果となった。また、代謝に関する追加実験を行い、木材基質の分解量から酸素及び二酸化炭素の生成量を推定できることを確認した。これら一連の実験で、腐朽に伴う酸素消費、ガス濃度変化による腐朽速度低下率といった、菌の代謝によるモデル構築に不可欠なデータが得られた。 (2)柱材の腐朽実験による腐朽度及び含水率分布の測定 腐朽に伴う代謝や木繊維の異方性の影響が顕著となる柱材について腐朽実験を行い、試料のX線CT画像を分析することによって上述した予測モデルの検証データを収集し、暴露6か月までのデータを得た。 一般に、柱材の腐朽度は菌の接種面からの距離によって分布が生じるが、繊維方向の腐朽進行ではその差が小さい傾向が確認でき、酸素濃度の影響と思われる内部の低下も見られた。一方、接種面からの距離が同一となる断面について、繊維放射方向の分布を詳細に確認すると、柱材のように断面寸法が100x100mm程度ある場合、晩材率、ヤニの有無などによって、腐朽度や含水率の分布が異なっており、モデルによる予測結果と実現象を比較するうえでの重要となる知見が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年度報告したように、当初の実験方法では菌糸の活性が低く、再度、培地面積を広げ菌糸培養、接種、暴露を行う作業が必要となり、遅れが生じている。特にコロナ禍の影響で、年度初めに作業が中断され、更なる遅延が生じた。 進捗について、柱材の腐朽実験は暴露6か月までのCTデータが得られているが、今年度中頃の12か月まで継続する予定である。代謝のモデリングについては、腐朽に伴う生成・消費率、腐朽速度の低減係数が得られており、今年度は腐朽に影響する酸素等の透過性能を測定する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
モデリングに関しては、得られたパラメータを組込んだ数式を整備し、既存のモデルを改良する。また、予測モデルを用いて感度解析を行い、代謝によって柱材や大径材等でどのような影響が生じるかを検討する。 柱脚材の腐朽実験については、モデルの検証データとする予定であるが、これまでの結果から繊維方向や晩材率による物性の違い、ヤニの有無等によって、同一断面でも腐朽度にばらつきのあることが判明している。これら生物資源特有の要因を考慮したうえで、実験結果から腐朽の状況を丁寧に分析し、ある程度理想的な材として扱う予測モデルが導き出す結果の位置付けについて考察する予定である。
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Causes of Carryover |
菌の活性不足による再試験、コロナ禍による影響のため当初計画より実験が遅れたため、費用を次年度まで確保する必要が生じた。使用計画としては、X線CT画像撮影及びモデルパラメータ測定に係る消耗品、旅費等について、年度前半に執行する予定である。
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