2021 Fiscal Year Annual Research Report
Study on realization of biomass circulation and both supply and consumption of biomass exergy within local area
Project/Area Number |
18K04463
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
高橋 達 東海大学, 工学部, 教授 (50341475)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 熱中症 / 人体 / 建築環境 / 多層構造 / エントロピー収支 / エントロピー生成 / 水循環 |
Outline of Annual Research Achievements |
過年度のエントロピー収支解析では、木質バイオマス循環の定常時評価について一定の成果を導出することができた。しかしながら、システムの持続的活動の条件を把握するには、健常時から不健全時に陥る非定常の過程を対象に解析を行う必要があるという課題も明らかになった。そこで今年度は非定常の解析モデルで、かつ物質(水)循環の機構をも再現する人体Two-nodeモデルと、建築環境との連成システムを対象にしてエントロピー収支とシステムの健全性との対応関係について解析を行った。人体のエントロピー廃棄不良による不健全の例として熱中症発症を取り上げた。その結果、以下のことが明らかになった。 1)ある系を健全に機能させるためには、その系の廃棄エントロピーを受けとめる外側の系において、さらに大きなエントロピー廃棄を実現させる必要がある。エントロピー廃棄不良の最大の要因は発汗制限=系内水循環の劣化であるので、木質バイオマス循環だけでなく、人体のシステムにおいても水循環の正常な作動と多層の廃棄とが適正なエントロピー収支の条件になっていることが確認できた。 2)冷房時では人体外殻部、室内空気、周壁、エアコンのいずれも エントロピー生成速さが外界温度の変動に応じて変動するが、熱中症発症時には外界温度の変動とは無関係に変動している 。システムのエントロピー生成速さが外界温度の変動に対応しているかがシステムの持続可能性の判断をする材料になりえると考える。 3)そのため、人体の芯部、外殻部に始まり、室内空気、周壁、エアコンなどを経て、外構、街区などに至る一連のシステム 全体において、エントロピー廃棄を多層で連鎖的に行えるようにすることが、エントロピー廃棄の視点から生気象学的デザインに必要な条件と考える。その際、建築内外に非平衡性をつくり出すベースが断熱などのパッシブ型技術であり、それを補う設備がアクティブ型技術である。
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